2012 Fiscal Year Research-status Report
重症薬疹における抗原提示細胞のアクセサリー分子の発現と抗TNFα抗体療法の検討
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24790534
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤田 浩之 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60533867)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 薬疹 / アクセサリー分子 / 抗原提示細胞 / T細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
研究初年度に当たる当該年度は既存の保存検体の解析、新たな実験系の立ち上げ、新規の検体確保に重点を置いて研究を推進させた。 本研究では重症薬疹患者の末梢血単核球に発現するアクセサリー分子を調整する因子として、TNFαをはじめとした血清サイトカインのバランスが重要である。そのため、当研究室がすでに確保・保存してある血清中の各種サイトカイン濃度をELISAなどを用いて測定して臨床経過と比較検討することによって、病態へ及ぼす影響を検討した。 新規実験系の立ち上げとしては、薬疹患者の末梢血単核球に発現したアクセサリー分子の発現を検討するために、PCRと免疫染色の実験系の開始および最適化を図った。患者血液から末梢血単核球を単離し、PCRで複数のアクセサリー分子の発現量の変動を検討した。また免疫染色に関しては重症薬疹発症初期の患者から生検により得られた皮膚検体を凍結保存しておき、組織中の末梢血単核球に発現したアクセサリー分子を検討した。 本研究を推進するためには既存の凍結保存血清だけでなく、重症薬疹患者の皮膚生検検体および治療に伴う経時的な血清および末梢血単核球が必要となる。しかしながら重症薬疹の発症頻度は年間に100万人当たり数名程度と低く、検体確保が困難であることが当初より予想された。そのため必要十分な検体数を確保できるよう研究初年度より検体確保に重点を置き、研究の重要性・必要性を患者に説いて、同意を得られるよう努力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存検体の解析はほぼ終了し、疾患群および時間経過によるサイトカインプロファイルの検討は平成24年度の国際学会で発表済みである。 新規実験系の立ち上げとしてPCRと免疫染色を開始し、研究の手法として使用中である。 新規検体の確保に関しては、一定数の検体を確保することができた。今後も重症薬疹患者が受診した際には継続して検体の確保に努める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は患者の全末梢血単核球から抽出したRNAに対してPCRで解析を進めているが、対象とすべきアクセサリー分子を限定した後には、磁気細胞分離法を用いて抗原提示細胞およびT細胞を単離することで、各々の細胞集団に特異的に発現したアクセサリー分子を検討する予定である。また免疫染色に関しても多重染色を併用することで、実際の皮膚における上記細胞群の分布および発現を検討する予定である。 さらにTNFαなどの既存のサイトカインだけでなく、血清中の新規サイトカインやケモカインなども追加で検索することにより、多角的に重症薬疹の発症機序および病態を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記推進方策に基づき、実験においてはプライマー、抗体などの消耗品を中心に研究費を使用する予定である。 平成24年度は薬疹関連の国際学会への参加費として研究費の使用を節約したため、繰越金が生じた。平成25年度は国際薬疹学会および薬疹を扱う国際学会がいくつか開催される予定であるため、論文化されていない重症薬疹に関する最新の知見を得たり、既に得られたいくつかの結果を発表するために、平成24年度からの繰越金も含めて、国際学会への参加費の一部として充填する予定である。
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