2013 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病によるスパイン形態変性におけるERKの機能的役割の解明と新規治療薬開発
Project/Area Number |
24790539
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小菅 康弘 日本大学, 薬学部, 助教 (70383726)
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Keywords | 糖尿病 / 海馬 / シナプス / インスリン受容体 |
Research Abstract |
本研究は、extracellular signal-regulated kinase(ERK)に着目し、慢性的な高血糖が誘発するスパインの形態異常における役割を明らかにすることを目的とする。また、中枢神経系において選択的にERKを活性化する化合物を合成し、in vitroおよびin vivoモデルを用いて評価することで、ERKを標的とした治療薬開発の可能性についても検証する。 本年度は、申請者が、昨年までにSH-SY5Y細胞を用いたin vitro糖尿病モデルにおいてERKの活性化作用を持つことを見出している17β-estradiol(E2)の脳内移行性を改善誘導体(E2A)のin vivoレベルでの効果を中心に検討した。E2およびE2Aを雄性マウスに1週間連続投与し、各脳部位におけるにおけるERKの活性化に及ぼす影響をWestern blot法により評価した。その結果、E2またはE2Aの投与は、ともに海馬のERKの活性化レベルを増強したものの、その効果は、E2AよりもE2が強力であった。また、シナプス後部のマーカータンパク質であるpostsynaptic density-95(PSD-95)の発現レベルに及ぼす影響も検討したが、海馬では、E2およびE2Aの投与による有意な変化は認められず、E2およびその誘導体による治療薬効果は認められなかった。 さらに、本研究では、高血糖刺激が誘発するERKの活性化抑制機構をin vitroレベルで行ったところ、持続的な高グルコース刺激により、インスリン受容体およびインスリン受容体基質 1(IRS-1)のリン酸化体の発現レベルが低下した。以上の結果より、高血糖刺激が誘発するERKの活性化抑制にはインスリン受容体の機能不全が関与することが示唆された。
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