2012 Fiscal Year Research-status Report
S.maltophiliaの薬剤感受性および耐性遺伝子に関する分子疫学的研究
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24790546
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金森 肇 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (70625318)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 感染症 |
Research Abstract |
近年、多剤耐性のPseudomonas aeruginosaやAcinetobacter baumanniiによる病院感染症やアウトブレイク事例が国内外で大きな問題となっている。Stenotrophomonas maltophiliaは、これらの菌種と同様にブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に分類され、高度先進医療、移植医療、抗癌剤や免疫抑制剤の進歩、易感染性宿主の増加、広域抗菌薬の普及に伴い、S. maltophiliaによる日和見感染症や病院感染症についても今後増加することが予想される。また、S. maltophiliaはカルバペネム系を含む多くの抗菌薬に自然耐性を示すが、近年になりST合剤やキノロン系薬にも耐性を獲得したS. maltophiliaが出現しており、それらの耐性遺伝子の世界的な拡がりが懸念される。S. maltophiliaの薬剤感受性や耐性遺伝子に関するデータは国や地域によって異なっているが、本邦のデータは不十分である。 本研究では、S. maltophiliaの薬剤感受性および耐性遺伝子に関して分子疫学的研究を行い、耐性株の地域特性や国内流行株の伝播状況を解明する。収集したS. maltophilia臨床分離株の一部について、Clinical and Laboratory Standards Instituteに準拠した寒天平板希釈法により各種薬剤の最小発育阻止濃度を測定した。海外でS. maltophilia感染症の治療に使用される抗菌薬についても薬剤感受性試験を行った。また、S. maltophilia臨床分離株からDNA抽出を行い、特異的なPCRプライマーを用いて耐性遺伝子の検出を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国から菌株収集を行ったが、地域によって得られた菌株数に差があるため、引き続き菌株収集を継続する。現在国内の臨床においては使用不可能であるが、海外でS. maltophilia感染症の治療に使用される抗菌薬についても薬剤感受性試験を行っているため、薬剤入手や適切な薬液調整などに時間を要している。また、耐性遺伝子を検出するための特異的なPCRプライマーを入手したが、文献に記載されている条件では非特異反応を認め、条件設定に難渋しているため、当初よりやや計画が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き、菌株収集、薬剤感受性試験、PCR法による耐性遺伝子の検出を行う。PCR法で適切な条件設定を決定した後に、得られたPCR増幅産物に対してDNAシークエンス解析を行い、耐性遺伝子の型別を決定する。目的とする耐性遺伝子を保有するS. maltophilia臨床分離株を対象に、本邦における耐性株の地域特性や国内流行株の伝播状況について分子疫学的手法を用いて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していた菌株収集、薬剤感受性試験、PCR法とDNAシークエンス解析を行うために必要な経費として、次年度請求額とあわせて使用する計画である。
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