2012 Fiscal Year Research-status Report
病原因子VirB5とBepAによる猫ひっかき病の血清診断・型別法の確立と病態解明
Project/Area Number |
24790554
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳原 正志 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40379954)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 猫ひっかき病 / Bartonella henselae / VirB5 |
Research Abstract |
Bartonella henselaeは猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)の原因菌で、患者からの分離培養が困難な菌である。本菌のIV型分泌装置の構成タンパクであるVirB5はCSD患者の血清と反応する主要抗原の1つとして報告されている。これまでに、我々は本邦で分離されたB. henselaeのvirB5遺伝子解析により、標準菌株(ATCC49882株; VirB5-1型)と約13~20%のアミノ酸配列の異なる2つのsubtype(VirB5-2型、VirB5-3型)を同定した。本年度は各subtypeのGST-VirB5融合タンパク質を作製し、CSD患者血清との反応性についてWestern blot法にて検討した。本研究の対象として、リンパ節や膿などの遺伝子解析により感染菌株のVirB5 subtypeが同定済みの19例のCSD患者血清と健常人血清4例を用いた。CSD患者19例中13例(68.4%)で反応性に強弱はあるものの全てのVirB5 subtypeとの反応を認めた。一方、健常人血清4例ではVirB5への反応を認めなかった。また、VriB5と反応したCSD患者血清では、感染菌株と同一のVirB5 subtypeで血清を吸収処理することで全てのVirB5 subtypeへの反応は完全に消失したのに対し、感染菌株と異なるsubtypeで血清を吸収処理しても感染菌株と同一のVirB5 subtypeへの反応は消失しなかった。以上の結果より、CSD患者血清中には感染菌株と一致したVirB5 subtypeに対する抗体が存在し、他のVirB5 subtypeとの反応には共通のエピトープを認識する抗体が関与していることが明らかとなった。さらに、血清の吸収処理によって感染菌株のVirB5 subtypeを同定できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は抗原となるGST-VirB5融合タンパク質の精製法を確立し、各VirB5サブタイプとCSD患者および健常人血清との反応性をWestern blot法にて解析した。さらに、患者血清の吸収処理によって感染菌株のVirB5 subtypeを同定できることを明らかにし、VirB5による血清型別法の可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には抗原となるGST-BepA融合タンパク質を精製し、各BepAサブタイプとCSD患者および健常人血清との反応性をWestern blot法にて解析を実施する。血清型別解析法の基礎的検討のため、感染菌株の遺伝子型が決定済みのCSD患者血清を用いる予定である。また、ELISA法による多検体解析に向けて、VirB5およびBepAの各抗原の精製度の向上と収量の増加を目的に、融合タンパク質の精製のスケールアップと精製ステップの追加を検討する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費の執行は計画通りに行ったが、年度末(H25年3月18-20日)に参加した日本細菌学会総会への旅費(41,960円)が事前の旅費試算(41,980円)と合わず、20円の未使用額が生じた。この未使用額については次年度の学会への旅費と併せて使用する。
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Research Products
(5 results)