2012 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性膵炎・胃炎における新しい疾患マーカー自己抗体の探索同定と検査法の開発
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24790555
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗崎 宏憲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70403962)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自己免疫性膵炎 / Aire |
Research Abstract |
ヒト自己免疫性膵炎は、自己抗体の存在は確認されるものの、標的細胞や標的抗原が未だ明らかになっていない。一方、Aire KOマウスにおいてこれまで報告のなかった自己免疫性膵炎と胃炎を新たに観察し、その標的抗原としてPdia2 (protein disulfide isomerase A2)の存在を確認している。従ってAire KOマウスは自己免疫性膵炎および胃炎のモデルとなる可能性が高いと考えられた。そこで今回、マウス実験結果をもとに、Pdia2抗原に対する自己抗体はヒト自己免疫性膵炎・胃炎における新しい疾患マーカー自己抗体となりうる可能性が高く、新しい検査・診断法を確立して患者血清を用いてのスクリーニングを行い、自己抗体の疾患マーカーとしての意義、さらに発症メカニズムの解明を行うことを目的とする。 今年度はマウスにおいて、Aire KOマウスの胸腺におけるPdia2のmRNA発現量の変化を検討した。Mark S. Andersonらによる報告を基に、胸腺における末梢組織特異的遺伝子群の異所性発現リストからいくつかの遺伝子を選定し測定を行った。しかしながらPdia2の発現は検出するのが困難で、現在検討を重ねている状況である。また、その他の標的抗原の探索については、複数のバンドをスクリーニングで確認済みである。今後はこのバンドについて、質量分析法でPdia2と同様に解析を続ける予定である。 ヒトにおいては、抗PDIA2自己抗体を検出する系を確立するため、まずヒトPDIA2タンパク発現ベクターを作成した。数種類のベクター、コンピテントセルで実施した後、目的とするタンパク発現ベクターを得ることができた。これによってスクリーニングを実施する際に使用可能な抗原タンパク質を得ることが可能になったため、今後大量に精製した後、スクリーニング系の検討を行い、実施することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの系においては、胸腺でのPdia2のmRNA発現量測定が難航しているためと、KOマウスは不妊症に陥り、KOマウスを得るのが難しく実験が進まないためである。 ヒトの系は、タンパク質発現についてもほぼ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにおいては、本年度完了できていない、胸腺におけるPdia2のmRNA発現量の変化、およびその他の標的抗原の探索を質量分析法を用いて実施し、Pdia2と同様に解析を行う。ヒトにおいてはヒトPDIA2タンパク発現ベクターが作成完了したため、これを用いてタンパク質を大量に精製する。その後、スクリーニング法としてWesternblottingもしくはELISAの検出系の開発および患者検体約1,000例を用いたスクリーニングを実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度実施できなかった、その他の標的抗原の探索には質量分析法を用いるため、その解析と使用する実験動物に対して本年度の残りの研究費を使用予定である。 その他は当初の予定通り、薬品、実験用動物、プラスチック器具に大部分をあて、成果を発表するための学会および論文投稿に若干の研究費の使用を予定している。
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