2012 Fiscal Year Research-status Report
腹腔鏡下減量手術後の非アルコール性肝疾患改善の定量的評価
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24790560
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
馬場 誠朗 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90573064)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高度肥満症 / 腹腔鏡下減量手術 / 非アルコール性肝疾患 / 肝容積 / ASQ / 肝繊維化マーカー |
Research Abstract |
高度肥満症患者(BMI≧35+肥満に起因する健康障害)に対して腹腔鏡下減量手術を施行し、良好な成績を得ている。腹腔鏡下減量手術を安全に実施するためには、術前の減量と肝容積の減少が重要で、また、術後の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の改善を肝容積と肝実質硬度(線維化)の点から定量的に評価することは、今後の肥満症に対する内科的そして外科的治療戦略に重要と考えられる。本研究では、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術後の減量による肝容積の変化を腹部CTで経時的に測定し、NAFLDの改善を、超音波音響放射圧を用いた肝硬度と肝実質の定量的評価と肝線維化マーカーで検討している。 2012年12月までに19例に同手術を施行した。術後は良好な体重減少が得られており、術前平均BMI(kg/m2)45が術後1年では32へと低下している。FD比は術後に上昇(術前 0.018/術後6か月0.103, p=0.015)。肝容積(術前/術後6か月)は全体(2,404/1,670ml, p=0.016)、右葉(1,569/1,203ml, p=0.059)、左葉(835/467ml, p=0.004)で、術後6か月で健常人レベルに低下した。肝繊維化マーカー(術前/術後6か月)はヒアルロン酸(23/19ng/ml, p=0.844)と減少傾向を示すのみであったが、IV型コラーゲン(4.4/3.5ng/m, p=0.003)で有意な減少を認めた。術中肝生検では単純性脂肪肝15名、非アルコール性脂肪性肝炎4例であった。単純性脂肪肝が術後1年で改善した症例,非アルコール性脂肪性肝疾患では、FDRが0.01から0.10へ上昇、脂肪面積が減少しBruntの分類で、grade3、stage4からgrade1、stage4と活動性の改善した症例を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高度肥満症患者(BMI≧35kg/m2)で腹腔鏡下減量手術症例20例とBMI 30kg/m2未満で内科的治療を行っている非アルコール性脂肪性肝疾患症例20例を比較検討予定である。 一番の問題点は手術症例の確保と考えられていたが、現在までは手術症例は順調に増加しており、肝超音波検査、腹部造影CT検査、肝繊維化マーカー検査も施行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例結果の集積を行い、結果を解析し、海外学会発表を目標とする。 平成25年度に英文論文の作成を目標とし、インターネットでも広く発信することを考えたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.減量治療の選択と実施 2群に分けて、超音波検査によるVTTQ・ASQ、腹部造影CTによる肝容積(全肝/右葉/左葉)・肝脾臓脂肪量比・内臓脂肪面積、肝線維化マーカーを比較検討する。1)高度肥満症患者(BMI≧35kg/m2)で腹腔鏡下減量手術.2)BMI 30kg/m2未満で内科的治療を行っているNAFLD.*腹腔鏡下減量手術例では、術中肝生検を併施する。 2.解析項目と方法:減量前、減量後手術直前、術後1・3・6・12・24か月に測定する。 1)肝線維化マーカー:PAI-1、ヒアルロン酸、IV型コラーゲン 7s を測定する。2)腹部造影CTによる肝臓容積、肝脾臓脂肪量比、内臓脂肪面積.SYNAPSE VINCENT(富士フィルム)を使用して肝容積(全肝、左葉、右葉)を算出する。 3)超音波検査(ACUSON S2000; Siemens Medical Solution, USA)でVTTQ、ASQを測定する。 主に重症肥満症患者(BMI≧35kg/m2)に対する外科的治療(腹腔鏡下胃バンディング術または腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)について症例を集積し、引き続き平成24年度と同様の検討を行う。
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Research Products
(5 results)