2012 Fiscal Year Research-status Report
超広視野ナノレベル構造観測による乳癌幹細胞in situ同定法の開発
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24790562
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山本 陽一朗 日本医科大学, 医学部, 助教 (00573247)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 乳癌 |
Research Abstract |
乳癌約700症例について、ER、PgR、HER2などの免疫組織化学的性質を含んだデータベースの構築を行った。そしてLuminal A、Luminal B、 Basal-like(triple negative)、 HER2+(ER-,PgR-)の4タイプにおいて、免疫組織学的に対応する各6症例を解析対象としてピックアップし解析を開始した。 これらのピックアップした症例に対して、パラホルム固定後、電子顕微鏡用の薄切り切片とそのミラーイメージであるHE用切片(または免疫染色用切片)を同時に作製し、薄層広視野樹脂包埋法を施行した。そして乳癌管内進展部を含む癌領域において、複数の電子顕微鏡画像を撮影し、画像を合成することにより広範囲における連続した電子顕微鏡画像の作成を行った。この結果、広範囲において合成した電子顕微鏡画像においても、正円形核および乏しい細胞内小器官を有し、筋上皮細胞と腺管上皮細胞のいずれにも接し挟まれるように存在しているBasal clear cell類似の微細構造を持った細胞を同定することに成功した。 また並行して、薄層広視野樹脂包埋法の対応するミラーイメージであるに薄切切片において、乳癌幹細胞マーカーの免疫組織化学的解析としてCD44を染色しているが、背景とのコントラストが弱く明確な陽性細胞の同定ができていない。現在、染色条件の再検討を行っている。またCD44以外のALDH1、Nucleosteminといった抗体についても検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳癌データベースの構築、および、解析用症例検討が終了した。また薄層広視野樹脂包埋法にて広範囲における連続した電子顕微鏡画像においてもBasal clear cell類似の微細構造を持った細胞を同定することに成功した。 一方で、免疫組織化学的解析としてCD44を用いての染色を行っているが、背景とのコントラストが弱く明確な陽性細胞の同定ができていない。そのため、研究の達成度はやや遅れている状況である。対策として、現在染色条件の再検討およびCD44以外のALDH1、Nucleosteminといった抗体についても検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、免疫組織学的解析と並行して、薄層広視野樹脂包埋法にて確認したBCL-like cellの存在率が高い領域と低い領域について遺伝子発現解析を行う予定である。具体的には、BCL-like cellの存在比率が高い領域と低い領域をレーザーマイクロダイセクション(共通機器室)を用いて切り出し、遺伝子解析(DNAメチル化解析など)を行う。また必要に応じてリアルタイムPCRにて定量的な解析も行う。 またBCL-like cell細胞の分布をバーチャルスライド上に取り込み、分布形式をNECバイオメディカルソリューショングループの協力のもと作成済みの解析ソフトで定量化する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は旅費および人件費を抑えることができたため、当初の予定より全体として少ない研究費で研究を施行することができた。 一方で、薄層広視野樹脂包埋法にて観察した乳癌管内進展部が、当初の想定より小さいため、レーザーマイクロダイセクションによるRNA解析では十分な組織量が採取できない可能性が高い。そこで、より少量の組織片に対しても安定した結果が望めるDNAメチル化の解析比較を行うために、この研究費を次年度以降使用する予定である。
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