2012 Fiscal Year Research-status Report
立体構造情報を利用したメタロ型カルバペネム分解酵素の阻害剤創製と細菌検査への応用
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24790570
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和知野 純一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00535651)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 |
Research Abstract |
本年度はSMB-1メタロ-β-ラクタマーゼ(以下MBL)の高純度精製を行い、X線結晶構造解析に至適な結晶を得た。最終的に2つのリザーバ溶液(溶液1および2)を用いて、再現よく結晶作製を行うことができた。得られた2つの結晶の分解能はいずれも1.6A程度であった。L1MBLをサーチモデルとし、分子置換法を用いてSMB-1の構造を決定した。SMB-1の全体像はこれまでに構造が決定されているサブクラスB3MBLであるAIM-1やBJP-1と酷似していた。活性中心には2つの亜鉛イオンが存在した。SMB-1の157番目のグルタミンの側鎖は、活性中心に位置し、基質であるβ-ラクタム薬の認識に重要なアミノ酸であると考えられた。そこで、アラニン置換体を作製し、その酵素活性及び最小発育阻止濃度(MIC)を算出した。その結果、アラニン置換体は野生型酵素に比べ、ペニシリン系、セファロスポリン系、カルバペネム系の各種β-ラクタム薬に対する触媒効率が低いことがわかった。さらに、これらβ-ラクタム薬に対するMICも低下していた。したがって、SMB-1の157番目のグルタミンは酵素活性に影響する部位であることがあきらかとなった。しかし、酵素活性が完全に失われなかったことから、必須部位ではないと考えられた。さらに、MBLの阻害剤であるメルカプト酢酸とSMB-1の共結晶を作製し、その構造を決定した。メルカプト酢酸のチオール基は活性中心にある2つの亜鉛イオンに配位していた。さらに、メルカプト酢酸は片方の亜鉛イオンとキレート環を形成していた。メルカプト酢酸はこれらの結合を介して活性中心に収まることで、阻害剤として機能するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度はSMB-1の構造決定までを予定していたが、さらに、阻害剤であるメルカプト酢酸との共結晶作製、およびその複合体の構造決定にまで至った。これらの研究成果については論文発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得た構造データを基に、SMB-1メタロ-β-ラクタマーゼの新規阻害剤を探索する。SBVSおよびLBVSを併用し、バーチャルスクリーニングによりシーズ探索を行う。阻害剤候補物質を30程度選出して、それらが実際に阻害剤として効果を発揮するか否かを検証する。阻害効果があった化合物についてはX線結晶構造解析を実施し、どのような結合を介し、阻害剤として機能しているのかをあきらかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)