2014 Fiscal Year Annual Research Report
新たに開発した動物モデルを用いた末梢動脈疾患に伴う疼痛機序の解明
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24790575
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀 紀代美 金沢大学, 医学系, 助教 (40595443)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 末梢動脈疾患 / PAD / 虚血性疼痛 / 冷痛覚過敏 / TRPA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的】末梢動脈疾患(PAD)で見られる虚血性疼痛のメカニズムを明らかにするため、本年度はPADモデルラットの虚血肢にみられる冷痛覚過敏の解析を行った。 【方法】昨年度同様全身麻酔下でラットの総腸骨動脈および腸腰動脈を結紮することにより下肢の血流を阻害したPADモデルラットを作成し、足底皮膚の機械刺激、熱刺激に加え、冷刺激に対する疼痛行動を観察した。冷刺激に対する疼痛行動としては昨年度までの低温刺激に加え、アセトンテストを行った。また、痛覚が亢進したラットの足底の皮膚について、結紮直後と冷痛覚の亢進している時期にHE染色による組織学的検討を行った。なお、冷痛覚が亢進したラットに、冷刺激により活性化されると報告されるイオンチャネルTRPM8の選択的な拮抗薬(AMTB)を投与して冷痛覚行動の変化を確認することにより行動薬理学的に検討を行った。 【結果】PADラットでは処置後皮膚の機械的痛覚過敏は1週まで、皮膚の冷温刺激に対しては処置後7日目までは特に行動変化は見られなかったものの、10日目から14日目まで冷刺激に対して痛覚過敏行動が認められた。熱刺激とアセトン刺激には特に変化認めなかった。また、結紮直後の4日目および冷痛覚過敏が認められた10日目の足底の皮膚には組織学的変化は認められなかった。さらに冷痛覚が亢進した10日目の行動薬理学的評価によりTRPA1拮抗薬は皮膚の冷痛覚過敏を抑制したが、TRPM8の拮抗薬は若干の抑制はあったが統計的有意差を認めなかった。 【考察】本年度の成果により、PADラットは、慢性的な筋の痛覚過敏と間歇性跛行に加え、冷痛覚過敏を呈し、末梢性動脈疾患の低温環境での痛み発現のメカニズムの解明に有用であることがわかった。また、下肢の血流阻害による冷痛覚過敏には、TRPA1 の活性化の関与が示唆され、PADにおける痛覚過敏の発現に重要と思われた。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Assessment of antitumor activity and acute peripheral neuropathy of 1,2-diaminocyclohexane platinum (II)-incorporating micelles (NC-4016)2014
Author(s)
Takayoshi Ueno, Kazuhira Endo, Kiyomi Hori, Noriyuki Ozaki, Akira Tsuji, Satoru Kondo, Naohiro Wakisaka, Shigeyuki Murono, Kazunori Kataoka, Yasuki Kato, Tomokazu Yoshizaki
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Journal Title
International Journal of Nanomedicine
Volume: 9
Pages: 3005-12
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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