2012 Fiscal Year Research-status Report
薬物治療を受けていない高血圧患者における梅酢ポリフェノールの降圧作用
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24790590
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 梅酢ポリフェノール / 高血圧 / ランダム化比較試験 / 一次予防 / 抗酸化作用 |
Research Abstract |
「梅酢」から抽出したポリフェノールは、疲労回復、血圧低下、動脈硬化防止等の効果が動物実験で検証されている。先行研究では、ヒトにおいて、梅酢ポリフェノールの降圧効果等評価と安全性確認を行った。梅酢ポリフェノール原体の1日投与量は最大200mg、投与期間は5週間としたが、一貫した降圧効果を認めなかった。要因として、飲用期間の短さやポリフェノール原体量の不足が考えられた。 そこで平成24年度は、投与量を増加し投与期間を延長してのパイロット研究を実施した。 研究デザインは、二重マスキングによる無作為化比較試験である。対象として、正常高値血圧および1度高血圧(収縮期血圧130~159mmHg、拡張期血圧85~99mmHg)で、降圧剤投与を受けていない者を募集したところ、和歌山県下の事業所職員15人(男13、女2)の協力を得られた。対象者を2群に分け、梅酢ポリフェノールカプセルを1日4個、12週間連続して服用するよう依頼した。1カプセル当たりの梅酢ポリフェノール原体含有量は0mgまたは200mgのいずれかである(1日量で0mgまたは800mg)。各参加者には、毎日の起床時と就寝前に家庭血圧を測定するよう依頼した。家庭血圧測定値は、梅酢飲料飲用開始前の平均値と、毎週の平均値を算出した。また、定期的に対象者を招集して、血圧を測定し、副反応の発生を確認した。群ごとに血圧の経時的変化を、対応のあるt検定、時間経過を考慮した反復測定分析、Dunnett検定(飲用開始前血圧を基準)により比較した。サブグループと時間経過の2要因を考慮した反復測定分析により、2要因の交互作用を評価した。統計解析にはSAS Ver.9.1を用いた(有意水準:両側5%)。 12週間の梅酢ポリフェノールカプセル摂取により、血圧低下傾向を認めた。また、梅酢ポリフェノールカプセルによると考えられる有害事象は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していた小規模のパイロット研究を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度に引き続き、薬物治療を受けていない高血圧患者(1度高血圧)約100人を対象とする。対象者を無作為に2群に分ける。二重マスキングのもと、1群に梅酢ポリフェノールカプセル(1日あたりの梅酢ポリフェノール原体量は800mg)を、もう1群に対照カプセルを12週間摂取させる。 上記試験の開始時点および終了時点に、質問票検査(生活習慣、職業、既往歴、家族歴、食習慣、疲労度)および検体検査(血液生化学検査、尿検査)を行う。また、家庭血圧計により、血圧の変化を追跡観察する。これによって、平成24年度に得られた所見が、より多くの高血圧患者に一般化できるか検討する。 平成26年度は、梅酢ポリフェノールカプセルは用いない。平成25年度の対象者を、カプセル使用終了から3ヵ月後、6ヵ月後、9ヵ月後および1年後に、質問票を用いて疲労度等健康状態の評価を行う。また、カプセル使用終了後1年経過時点で、血圧測定・血液検査等による追跡評価を行う。これらの所見をあわせて、梅酢ポリフェノールの循環器疾患危険因子改善効果の持続性を総合的に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
梅酢ポリフェノールカプセル製造費、調査用紙印刷費、簡易型記事式食事歴法質問票(BDHQ)購入費、調査に係る旅費(研究代表者および調査補助員)、研究対象者への謝礼(血圧計等の健康増進グッズ)、データ入力協力者への謝金、および消耗品費が必要である。さらに、血液検査費用も必要である。 対象者には、調査結果の一部を還元するために、結果報告書を郵送する。このための送料が必要である。また、BDHQのデータ管理のため、専用ソフトウェアの導入が必要である。
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