2012 Fiscal Year Research-status Report
乳歯エナメル質を用いた胎児期における内部被曝の評価法の開発
Project/Area Number |
24790592
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 助教 (60453586)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微量元素 / 乳歯 / 出生前エナメル / レーザーアブレーション / ICP-MS |
Research Abstract |
歯牙中の微量元素について、LA-ICP-MS法による出生前エナメル質中の微量元素濃度分析法の基礎検討を行った。 エナメル質は胎生期から生成しはじめる。そのため、胎生期に生成されたエナメル質を測定することで、この時期に暴露された微量元素をレトロスペクティブに観察できると考えられる。しかし、エナメル質断面における極少領域の微量元素濃度を測定することは、前述した酸分解後のICP-MSによる測定では困難である。本研究では、近年実用が可能となったレーザーアブレーションICP-MS(LA-ICP-MS)の歯牙検体分析への応用を検討した。LA-ICP-MSの測定最適条件を検討するために磁場分解型ICP-MSと飛行時間型ICP-MSの両方で検討を行った。乳歯のエナメル質と象牙質の境界について500μm×250μmの範囲にわたりMg、Cr、AsおよびSrをLA-ICP-MS(磁場分解型)にて測定し、得られた濃度分布を2次元イメージングした。元素ごとに濃度は異なるが、元素濃度が高い領域、低い領域を画像化することができた。一般に乳歯エナメル質中の微量元素は極低濃度であるが、LA-ICP-MSの検出部にマルチコレクターを使用することで多くの元素についてppbオーダーの測定が可能となっている。 一方、LA-ICP-MS(飛行時間型)では、磁場分解型ICP-MSより測定感度は低いが、一度に多種類の元素を同時測定できる。今回は象牙質からエナメル質にかけてレーザーアブレーションを行い、この線上における微量元素分布を観察した。その結果、これまで知られているCaとMgの象牙質とエナメル質での濃度の差も観察できるとともに、エナメル質特異的にMn、ZnよびSbなどがみとめられた。今後は、さらに極少領域に絞った元素定量について検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LA-ICP-MSによる分析方法の確立については、当初通りの予定で進んでいる。一方、本疫学研究の対象となる福島在住の子供の乳歯の収集が進んでいない。2011年の震災後における福島県内における試料の収集は住民感情を含め慎重を期す必要があることから、乳歯の提供を受けるルートの確保を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在検討が進んでいるLA-ICP-MSによる分析法の定量性の担保について検討を行うとともに、福島県下における乳歯の取得を進めて行く。行政機関等の大きなルートではなく、小学校や保育園など草の根レベルで乳歯の提供が得られるルートを探していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本疫学研究の対象となる福島在住の子供の乳歯の収集が進んでいないため、これに注力する。乳歯の提供を受けるルートの確保でき次第、調査票の印刷、配布等の通信費に宛てる。
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Research Products
(4 results)