2013 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴うマクロファージTLRシグナル伝達阻害におけるO-GlcNAc修飾の役割
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24790593
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
白土 健 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (60559384)
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Keywords | 老化 / 加齢 / マクロファージ / 炎症 / Toll様受容体 / シグナル伝達 / 翻訳 |
Research Abstract |
平成25年度は、老化によるマクロファージ(MΦ)の炎症性応答能低下のメカニズムを明らかにするため、2月齢(若年期)と12月齢(中年期)のBALB/c雄性マウスの腹腔からそれぞれ常在性MΦを採取し、LPS刺激に対する応答性を比較・検討した。刺激6時間後に培養上清中のTNF-α濃度をELISA法で測定し、細胞内のiNOSタンパク質発現をウェスタンブロット法で分析した。細胞内の各mRNA発現はRT-PCR法で分析した。LPS刺激後の培養上清中のTNF-α濃度は若年期に比べ中年期の方が有意に低かったが、細胞内のTNF-α mRNA発現はいずれも顕著に高まった。iNOSの発現変動パターンもTNF-αと同様だった。次に、Toll様受容体シグナル伝達能の応答性を明確にするため、NF-κBおよびJNKの各サブユニットの発現量とリン酸化レベルを若年期と中年期のマウスとの間で比較・検討した結果、いずれも差は認められなかった。以上の結果より、MΦの炎症性応答能は加齢初期ではmRNA転写後レベルで低下している可能性が示唆された。そこで次に、mRNA翻訳調節の一端を担うeIF-2αの発現を両齢間で比較・検討した。非活性型のリン酸化型eIF-2αは若年期に比べ中年期の方が高いレベルを示した。さらに、eIF-2αリン酸化酵素の一つとして知られるPKRは非リン酸化型およびリン酸化型のいずれの発現量も若年期に比べ中年期の方が高かった。最後に、LPS刺激に伴う炎症性応答に及ぼすeIF-2αのリン酸化の影響を明確にするため、RAW264.7細胞をeIF-2α脱リン酸化酵素阻害剤Salubrinalで刺激した結果、LPS刺激に伴うTNF-α分泌は有意に低下する一方、そのmRNA発現誘導には影響がなかった。以上より、加齢初期におけるMΦの炎症性応答能低下はmRNA転写後レベルで惹き起こされ、そのメカニズムにはeIF-2αのリン酸化亢進によるmRNA翻訳能低下が関与している可能性が示唆された。
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