2012 Fiscal Year Research-status Report
バリア破綻能-免疫賦活化能を有するアレルギー増悪物質のハイブリッド式検出法の開発
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24790596
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
角谷 秀樹 摂南大学, 薬学部, 助教 (00581414)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アレルギー応答 / バリア機能 |
Research Abstract |
過去の公害と比較して現代の化学物質による人体汚染は相対的に低濃度曝露であること、並びに複合的な曝露等が想定されることから、今後は「生体の恒常性に対する攪乱作用物質」に焦点を絞り、その作用を有する環境・食品汚染物質の探索と生体毒性影響に関する研究が社会のニーズとなるものと推察される。特に、化学物質による免疫賦活化能の評価はin vivoに集中しており、in vitroにおける報告例は皆無である。本研究は、食事を介して非意図的に摂取した化学物質の第一次汚染部位である腸管粘膜において、そのバリア機能破綻能を有し、尚且つアレルギーの発症あるいは増悪作用をも有する化学物質の探索に極めて有用な、簡便・迅速且つ高精度なin vitroハイブリッド式検出法を開発するものである。平成24年度では、ハイブリッド式検出法の構築の為の基礎データーとして、環境・食品中に存在するバリア機能破綻作用を有する化学物質の探索を行うとともに、モデル抗原を用いたTh1及びTh2応答性の検討を行った。その結果、ダイオキシン類をはじめとする環境・食品汚染物質が上皮細胞バリアを破綻させ、その破綻の有無には化学構造に特徴があることを見出した。また、Th1及びTh2応答性は、モデル抗原として汎用されているOVAでマウスTリンパ球を刺激すると、Th1系サイトカイン(IFN-g、IL-2) 及びTh2系サイトカイン (IL-4、IL-10) のmRNA量が上昇することを見出した。平成25年度は前年度の結果を精査し、バリア機能及び免疫賦活化能を同時に評価可能なハイブリッド式検出法の構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、ハイブリッド式検出法の構築までが研究計画である。バリア機能と免疫賦活化能とを同時評価可能なハイブリッド式検出法の構築は、概ね終了した。現在、その有用性の評価を実験動物を用いて評価するとともに、ハイブリッド式検出法の反応性の向上を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに、本課題のkeyとなるin vitroにおける免疫賦活化能を評価する実験系構築の為の基礎的データーの収集が完了した。本年度では、その成果を精査し、実験動物を用いたin vivoアッセイ系による本in vitroハイブリッド式検出法の妥当性評価を、下記の項目①~③について実施する。また、免疫賦活化能を評価する実験系の反応が弱いため、その反応の増強を試みる。 ① in situ腸管ループ法によりモデル抗原の生体内透過量を測定する。 ② アレルギー誘発モデルマウスを用い抗原特異的な抗体価の測定を行う。 ③ 化学物質のアレルギー増悪作用メカニズムの究明を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要経費として計上した予算の全てを消耗品費として使用する予定である。本学部では、学会や投稿論文等で研究成果を公表する場合においては、研究発表及び執筆した論文の筆頭者を対象に、薬学研究促進費より交通費、宿泊費、及び別刷費用等が補助される制度があることより、その制度を十分に活用して研究を進めることが可能である。従って、本研究課題を遂行するために、研究経費の殆どを新たに購入する必要のある培養用試薬、実験用試薬及び実験動物等の消耗品の購入に集中して使用することが可能である。
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Research Products
(6 results)