2012 Fiscal Year Research-status Report
高感度トロポニンTは心房細動新規発症を予測するか?
Project/Area Number |
24790597
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
姉川 敬裕 久留米大学, 医学部, 助教 (00511833)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 心房細動 / 高感度トロポニンT / サロゲートマーカー / 予防医学 |
Research Abstract |
わが国には100万人を超える心房細動(AF)患者がおり、そのQOL・生命予後は著しく損なわれている。AF発症の高リスク例を見いだし発症を積極的に予防すること、発症を早期発見し塞栓症予防に努めることが重要である。しかしながら、AFの新規発症を予測するバイオマーカーは発見されていない。 我々は既に予備解析として横断的研究を行い、高感度心筋トロポニンT(hsTnT)がAFと独立して関連する因子であること、および、hsTnT値が高値であるほどAF有所見率が上昇することを掴んでいる。 本研究では、縦断的研究を通してhsTnTとAFとの因果関係を調べ、hsTnTがAF新規発症を予測するバイオマーカーとなり得るか確認することを目的とする。対象は平成24年度に久留米大学病院で人間ドックを受ける約500名のうち同意が得られたもの、および当科が毎年ボランティアで行っている長崎県宇久町の健康診断受診者である。各評価項目およびhsTnT測定値のベースラインでのデータベース化を行う。次の項目について評価・検討する。a. 一般健常者におけるhsTnTの標準値およびAFの有病率を確認する。b. 前述の予備解析と同様に、hsTnTとAFとの関連、独立した関連因子かを検討する。 平成25年度は、平成24年度に久留米大学病院人間ドックを受けた症例のうち、インフォームドコンセントを行い、同意を得られた被験者、および平成25年度の宇久町の健康診断受診者である。予後追跡調査を行い、その結果を解析する。 この予後調査において、1年間の病歴聴取に加え、心電図検査を施行し、AF新規発症を捉える。ベースラインでのhsTnTの値、あるいはベースラインからのhsTnTの増加がAF新規発症の独立した危険因子であるという仮説を検証する。さらに、hsTnT値と心不全・心事故・脳血管事故・血管事故などとの関連についても検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の人間ドックおよび宇久町健診の検査項目のデータベース化が進行中である。 (1) 検査項目をデータベース化:一般検診(問診、身体測定、血圧測定)、一般採血検査(血算・血液生化学検査)、検尿(微量アルブミン尿、タンパク尿など)、栄養聞取り調査 (2) 心血管系サロゲートマーカーをデータベース化:心電図(不整脈、心肥大、異常Q波、ST異常)、心エコー(左房・左室径、左室駆出率、左室心筋重量係数、拡張能)、頸部血管エコー(内膜中膜厚(IMT)、プラーク数、プラーク指数)、血圧脈波検査(ABI、PWV) (3) hsTnTをデータベース化:Roche社製hsTnT測定キットを用い測定。
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Strategy for Future Research Activity |
7月に平成25年度宇久町健診を通常通り予定している。 平行して、平成24年度に久留米大学病院人間ドックを受けた症例のうち、インフォームドコンセントを行い、同意を得られた被験者に対して予後追跡調査を行う。この予後調査において、1年間の病歴聴取に加え、心電図検査を施行する。AF新規発症を捉える。これらの結果を解析し、ベースラインでのhsTnTの値、あるいはベースラインからのhsTnTの増加がAF新規発症の独立した危険因子であるという仮説を検証する。 さらに、hsTnT値と心不全・心事故・脳血管事故・血管事故などとの関連についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
hsTnT測定費用、宇久町健診旅費、解析ソフトウェア購入等に使用予定。
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