2014 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災による精神的ストレスが心血管疾患患者の予後に及ぼす影響を評価する研究
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24790605
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後岡 広太郎 東北大学, 大学病院, 助教 (20598411)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / PTSD / 心血管疾患 / 心不全 / 死亡 / 精神的ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災はマグニチュード9.0の巨大地震であり、東北地方に甚大な被害をもたらした。震災がヒトに心的外傷後ストレス障害(p ost-traumatic stress disorder, PTSD)を与えることが、1995年1月17日発生した阪神淡路大震災の被災者を対象にISE-R(Impact of Event Scale-Revised)形式のアンケート調査した研究から報告されている。(J Nerv Ment Dis 2002;190:175-182) PTSDは突然の衝撃的出来事を経験することによって生じる特徴的な精神障害であり、再体験(侵入)、回避、過覚醒を主要な症状とする。東日本大震災のような突然の衝撃的出来事を経験することによりPTSDを発症した例は多数存在すると予想されるが、精神的ストレスと予後との関連に関する知見は十分蓄積されていない。 H26年度は当科で進行中の心血管疾患症例の大規模コホート研究、第二次東北慢性心不全登録研究(Chronic Heart Failure and Registry in the Tohoku District-2, CHART-2研究)参加症例10219例を対象にPTSDの有無(ISE-Rで評価)とPTSD発症因子、予後との関連を調べた。8823例にアンケートを依頼し、3620例から有効な回答を得られた。 震災6か月後においてPTSDは14.7%に認められた。女性、津波の被災、所有物の損失、経済的困窮、震災前からの睡眠薬内服の既往がPTSD発生因子であった。PTSDを発症した心血管の予後(全死亡・心筋梗塞・脳卒中・心不全の複合イベント)は不良であった。(18.5% vs. 15.0%, P=0.035). 上記知見を論文発表した。Predictors and prognostic impact of post-traumatic stress disorder after the great East Japan earthquake in patients with cardiovascular disease.Circ J. 2015 Feb 25;79(3):664-7.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的である「PTSDの心血管疾患に対する影響度」を評価できた。震災6か月後においてPTSDは14.7%であるという知見を得た。また、女性、津波の被災、所有物の損失、経済的困窮、震災前からの睡眠薬内服の既往がPTSD発生因子であった。PTSDを発症した心血管の予後(全死亡・心筋梗塞・脳卒中・心不全の複合イベント)は不良であることを示し、論文発表した。(Circ J. 2015 Feb 25;79(3):664-7)
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては毎年アンケートを取得しており、今後長期的なPTSD発症頻度の変化や、規定因子の変化、さらに長期予後に関して研究を推進していきたい。
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Causes of Carryover |
平成24年度および25年度にアンケート調査を2回実施した。中間解析において外傷後心的ストレス障害(PTSD)合併心血管患者は非合併症例に対して予後不良な傾向を認めた。今年度は論文作成、学会発表を行う予定であったが、一部計画を変更し、さらなる予後追跡とPTSD発症因子に関して検討することとしたため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は平成27年度の学会発表、予後追跡、論文作成に充てることとしたい。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Predictors and Prognostic Impact of Post-Traumatic Stress Disorder After the Great East Japan Earthquake in Patients With Cardiovascular Disease - Report From the CHART-2 Study -2014
Author(s)
Takeo Onose, Kotaro Nochioka, Yasuhiko Sakata, Masanobu Miura, Soichiro Tadaki, Ryoichi Ushigome, Takeshi Yamauchi, Kenjiro Sato, Kanako Tsuji, Ruri Abe, Satoshi Miyata, Jun Takahashi, Hiroaki Shimokawa, on behalf of the CHART-2 Investigators
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Journal Title
Circulation Journal
Volume: 79
Pages: 664-667
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant