2012 Fiscal Year Research-status Report
語彙力を測定するアセスメントツールの開発ー出生コホートでの活用を目指してー
Project/Area Number |
24790606
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
龍田 希 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40547709)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 日本語版語彙検査 / 小学生 / 未就学児 |
Research Abstract |
語彙力を評価する指標の一つにBoston Naming Test(BNT)があり、海外では多用されている。このBNTは呈示された絵の名前を呼称することが求められる検査であり、子どもの言語能力を測定する指標として使用され、これまでの研究によりBNTの有用性が報告されている。ところが、日本では標準化された語彙検査は存在しない。 BNTを直訳したものを用いて日本人の7歳児を対象にBNTを実施した結果、米国人の7歳児の得点よりも低くなることがわかり、BNTの得点は対象者の社会文化的背景の影響を受けることが明らかとなった。このことから、日本人の語彙力を測定するには、BNTを日本語に直訳するだけでは不十分であり、日本の社会環境に配慮する必要性が示された。そこで、日本人の語彙力を測定する語彙検査を開発することを目的とした。 平成24年度には、大きく2つの作業を行った。第一に、直訳したBNTを用いて日本人の7歳児に実施した結果を論文としてまとめた。修正採択という回答であったため、現在修正しており、再投稿準備中である。第二に、日本語版語彙検査の候補となる300枚の絵を用いて、21名の一般成人(男性11名、女性10名)を対象に調査を実施した。その結果から、正答率が低かった項目及び回答にばらつきがみられた項目については、項目として妥当ではないと判断され91項目を削除した。また、14項目については絵を修正し、再度調査を実施した。最終的に209項目を用いることとし、描画したデータを電子化した。 対象者を募集するために新聞広告で対象者を募ることとした。そのため、新聞会社と連絡を取り、掲載する記事を作成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度には、一般成人及び子どもを対象に調査を実施するところまでを研究計画に含めた。ところが、一般成人を対象に調査を実施した結果から、項目の選定および絵の修正以外に、その後の再調査をすることとなり、予想以上に時間がかかってしまった。そのため、一般子どもを対象に調査を実施するところまで至らず、目標を達成することができなかった。そのため、このような評価とした。 その一方で、計画には記載していなかった論文を執筆することを追加した。これは作業を進める中で日本語版語彙検査を開発することの意義を明確にするためには必須であると判断し、論文執筆作業を遂行した。また、平成25年度に調査を実施しても本研究の目標は達成できると考えられる見通しである。以上のことから、進捗状況としては遅れているが、問題ない範囲であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年5月から12月までは未就学児から小学6年生(各年齢50名×8学年=400名)を対象に調査を実施する。対象者を募集するために新聞の広告欄に記事を掲載することとした。現在、先方と掲載内容について調整を始めている段階である。調査は申請者の所属する大学の一室に来場して実施する形式とする。一部の対象者には日本語版語彙検査の基準関連妥当性や併存的妥当性を調べるために日本語に直訳したBNTを実施する。また、再検査信頼性を検証するために、一部の対象者には調査日から一ヶ月簿にも再度調査を実施する計画である。 平成26年1月からは得られたデータを基に信頼性と妥当性を検証する。主に統計解析結果から客観的に評価し、信頼性と妥当性を検証する計画である。現在は209項目の語彙から構成される検査であるが、信頼性及び妥当性の高い60項目程度の検査にする計画である。調査終了後には、希望者を対象に調査結果の報告も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には未就学児から小学6年生(各年齢50名×8学年=400名)を対象に調査を実施する計画であったため、対象者への謝金を人件費・謝金に計上していた。ところが、調査の実施を平成25年度に変更したため平成25年度の研究費として繰り越している。そのため、平成25年度は主に人件費・謝金としての支出がある。 また対象者との日程調整や結果報告書を発送するための郵送運搬費(主に切手)やA4用紙などの消耗品費として使用する予定である。
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