2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の健康と認知症をめぐる環境・社会要因研究:アジアとの比較より
Project/Area Number |
24790610
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
伊関 千書 山形大学, 医学部, 医員 (80436211)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / ネパール / 高齢者 / 認知症 / 疫学 / 社会医学 / 文化 |
Research Abstract |
【背景と目的】高齢者・認知症医療の社会的要因を国際比較するため、ネパールにおける調査の予備的報告をする。【方法】ネパールにおいて、①地方の一般病院と首都の神経科病院の医療スタッフを対象に、認知症に対する意識をインタビューし、②地域在住高齢者と病院の高齢者を対象に、認知機能スクリーニング(Mini-Mental State Examination, MMSE; Hasegawa Dementia Scale Revised, HDS-R)を行い、高齢者家族を対象にClinical Dementia Scale (CDR)を施行した。【結果】①地方の病院では7名の医療スタッフにインタビューし、3名はDementiaという言葉を知らなかった。ネパールではDementiaの訳語はなかった。首都の病院では3名の医療スタッフにインタビューし、Dementiaという言葉は知られていた。認知症の概念を紹介したところ、それが疑われる人は病院患者の中にも地域高齢者の中にも時々見かけると回答したスタッフが最も多かったが、認知症患者は病院へ相談に来ると予想したスタッフは全体の半数の5名にとどまり、地方では祈祷師、都会では精神科専門病院に患者が集まるのではないかという回答があった。②地域在住高齢者6名、病院に来た高齢者3名、合計9名に認知機能スクリーニングを行い、結果は母語、性別、教育歴に大きく左右された。地域住民における認知機能検査の平均は、MMSEは16±4.2(平均±標準偏差)、HDS-Rは17±5.0であった。地域高齢者家族によるCDRは平均0.9であった。【結論】ネパールの地方では、認知症の概念はあまり知られていなかった。高齢者の認知機能検査結果は、母語、性別、教育歴による影響が大きかった。ネパールの社会は、認知症高齢者に寛容であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定はネパールに2回訪問であったが、ネパール現地協力者の都合により、3回目の訪問を25年3月に行い、トータルして予備調査を施行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ネパールの地域において研究協力者(新規)が施行予定の、コミュニティを対象とした精神疾患の疫学調査の中で、認知症の診断を試みる予定である。 また、予備調査で施行している内容を引き続きインタビュー数を増やして施行していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度と同様に、ネパールへの旅費(研究協力者を含む)、滞在費、研究関連の文献資料の収集に主に使用する予定である。
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