2012 Fiscal Year Research-status Report
インターネット依存障害の病態および治療に関する研究
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24790623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
片上 素久 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50572971)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | インターネット依存障害 |
Research Abstract |
本研究では、インターネット依存障害(Internet addiction disorder ; IAD)の更なる病態解明のため、ホームページ上でのオンラインアンケートを用いて、インターネット使用に問題がある者における、併存しうる抑うつ症状との関連を調べる。とりわけインターネットの使用時間および行動パターンと、抑うつ症状との関連について探索を行った。そしてホームページ上でのオンラインアンケートに答えた者のうち、IADと診断され治療を希望する者に対してIADに対する薬物療法および認知行動療法を平成24-25年度の間で施行し、これらの効果と転帰予測因子の検討を行っている。 インターネット使用に問題がある者における、併存しうる抑うつ症状との関連の検討については、ウェブサイト上において研究の主旨、計画を十分に説明を行い、オンラインにて同意が得られた者を対象とした。 さらにIADに対する薬物療法および認知行動療法の効果と転帰予測因子の検討については、上記ウェブサイトでのオンラインアンケートに答えた者のうち、大阪市立大学医学部附属病院神経精神科を受診し、Youngにより提唱されBeardとWolfにより改訂されたIADの診断基準を満たし、治療を希望する者を対象とした。その場合、再度研究の主旨および計画を十分に説明し書面による同意が得ることとし、患者が未成年の場合は、両親の同意も得られた者のみとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インターネット使用に問題がある者における、併存しうる精神症状との関連の検討については、匿名にて年齢、性別、職業を記入し、40000サンプルに対して8項目よりなるインターネット依存障害についてのスクリーニングテストを行い、うち5項目を満たした311サンプルに対して、インターネットにおける使用行動、長田らの作成したInternet Addiction Test日本語版、インターネット行動に関する質問票、Self-rating Depression Scale (SDS)を匿名にて施行した。 さらに上記ウェブサイトでのオンラインアンケートに答えた者のうち、大阪市立大学医学部附属病院神経精神科を受診し、IADの診断基準を満たし、治療を希望する者5名に対して、薬物療法および認知行動療法の効果と転帰予測因子の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらにサンプルを募り、縦断的な検討を進めるとともに、今回の研究結果をもとに、より効果的な介入をすることで、さらなるIADに対する病態の解明および治療戦略の確立を目指し、それに基づいた臨床的介入を行い、その成果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インターネット依存障害の病態解明のため、ホームページ上でのオンラインアンケートを用いて、さらにサンプル数を増やし、そしてインターネット使用に問題がある者における、併存しうる精神症状との関連を詳細に調べていく。 ウェブサイトでのオンラインアンケートに答えた者のうち、IADの診断基準を満たし、治療を希望する者に対して、薬物療法および認知行動療法の効果と転帰予測因子の検討を行っていく。具体的には、併存する精神障害を調べるために半構造化面接であるStructured Clinical Interview for DSM-IV Axis I/II disorders(SCID-I, II)などを行う。そしてIADに関する教育セッションに続き、構造化された認知行動療法を施行し、HAM-A、BDI、Sheehan Disability Scale、CGIなどにより、治療の有効性を評価する。また認知行動療法開始以降にも同様の臨床評価を行う。そしてこれらの結果を踏まえた上で、予後を予測する因子について検討を行い、IADに対する効果的な初期治療のプロトコル確立を目指す。
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