2014 Fiscal Year Annual Research Report
災害時に求められる母子保健―東日本大震災における母子の健康影響に関する研究から
Project/Area Number |
24790626
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉田 穂波 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (20626113)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 母子保健 / 災害対応 / 少子化対策 / 研修研究 / 周産期救護 / 防災対策 / 地域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)母子を中心とした災害時要援護者対応福祉避難所を運営するにあたり必要とされる基本的なツールの作成、実証研究を行った。この中では特に災害時の妊産婦リスクアセスメント項目、タイミング及び対応をレビューし日本国内で応用可能なチェックリスト、避難所運営マニュアルを作成した。これらのアセスメントシートと母子避難所運営マニュアルを用い、災害時訓練において大災害時における妊産婦救護所の設営から運営初期段階についてシミュレーションを実施し、その使用手順、項目内容、使いやすさ等に関して課題の抽出を行った。 2)地域における災害時妊産婦・乳幼児避難所の実態把握と啓蒙活動の手法開発を行い、自治体における災害時の妊産婦・乳幼児対応に関して実態調査を行い、全国でもごくわずかの自治体しか地域防災計画の中で妊産婦と乳幼児に関するが決まっていないことが分かった。 3)妊産婦への災害対応に関する手法開発として、妊婦・産後女性を対象とするスマートフォンのアプリを開発し、災害に備え母子の健康情報および備蓄準備状況、避難方法、災害時のニーズ、連絡先を記録できるシステムを準備している。今後、幅広い層を対象に実証研究を行い、災害時の情報共有について改善を重ねていく予定である。 4)地域における災害時妊産婦・乳幼児避難所の告知、啓発活動の手法開発では、基礎自治体や民間の防災訓練組織と連携し、地域防災に関する講義や講演、多職種間医療連携研修など本政策研究を社会に還元する活動を行った。また、妊娠中の両親学級で活用できる実践的なパンフレットを作成し、内容に関する検討も行った。これらの啓発ツールや妊産婦救護トレーニングコースを通じて、医療・保健現場と地方行政が災害時に協働で機能するような基盤を整備することが出来、顔の見える関係が構築出来ただけでなく、災害時要援護者対応訓練の素地が出来たことは災害時母子救護において大きな成果である。
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Remarks |
東京都「避難所管理運営の指針(区市町村向け)」http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/joho/soshiki/syoushi/ 東京都妊産婦災害時対応ガイドライン http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/shussan/nyuyoji/saitai_guideline.files/guideline.pdf
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