2012 Fiscal Year Research-status Report
軽度認知障害スクリーニング検査の地域在住高齢者への適用に関する総合的研究
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24790633
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Research Institution | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
Principal Investigator |
鈴木 宏幸 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90531418)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 認知機能検査 / MoCA-J / 地域高齢者 / 軽度認知機能低下 / 縦断調査 / スクリーニング |
Research Abstract |
本研究では比較的大規模のサンプルを対象とした初回調査と1年後の追跡調査の計2回の調査結果から、MCIスクリーニング検査である日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)を地域在住高齢者へ適用する際の特性及び有用性について総合的に検討することを目的としている。平成24年度は初回調査を実施・解析し、MoCA-Jにより操作的にMCIと定義した地域高齢者の心身・社会的特徴を明らかにすることを目的とした。 東京都A区の住民基本台帳から東京都健康長寿医療センター周辺9町内在住の65歳~84歳の男女全7,162名を抽出した。施設入居者と過去の当センター研究協力者を除外し、6,699名に対して当センターが主催する高齢者健診への案内状を送付した。参加希望者913名を対象に認知機能検査(MoCA-J、MMSE)、医学(既往歴、血圧等)、身体機能(歩行速度、握力等)、高次生活機能(老研式活動能力指標)、基本的日常生活動作能力(BADL)、生活習慣等を調査した。なお、当センター倫理委員会の承認を得て実施し、データの使用について、対象者全員に同意を得た。 健常群(MoCA-J26点以上)に対する軽度低下群(MoCA-J26点未満かたMMSE24点以上)および重度低下群(MMSE24点未満)を目的変数として、性、年齢、修学年数を統制した多項ロジスティック回帰分析をおこなった。健常群に対する重度低下群を目的変数とした記憶の愁訴ありと、健常群に対する軽度低下群を目的変数とした収縮期血圧を除き、いずれの場合もOdds比は有意であり、Odds比の値は軽度低下群に比べて重度低下群で増加した。MoCA-Jのカットオフポイントを用いた軽度低下群はBADLでは自立しているが健常群に比べて、高次生活機能は劣り、認知機能低下に対する自他からの訴えも強いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では比較的大規模サンプルによる初回調査と1年後の追跡調査の計2回の調査を実施する。初回調査については実施が完了し、解析もおおむね完了している。さらに、追跡調査についてもほぼ実施が完了しており、同時に解析にも取り掛かっている。そのため、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに多くの研究協力者と緊密に連携を取りながら順調に研究を遂行する事が出来ている。引き続き研究協力者と連携を取り、900名以上の認知機能検査の結果の解析を進めていく。また、より研究を推進するために、個人情報と関連しないデータ管理・データクリーニング・データ解析については認知心理学や臨床心理学を専攻する学生を含む専門調査員の協力も得る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では約7000名の個人情報を取扱い、かつ900名以上の認知機能検査等のデータを詳細に検討する必要がある。そのため、情報管理およびデータ解析に多くのエフォートを割く必要がある。そのため、情報管理に関連する物品の購入および個人情報と関連しないデータ管理・データクリーニング・データ解析に要する人員への謝金が必要となる。次年度は上記二点を中心に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)