2012 Fiscal Year Research-status Report
キャッチャーズを応用した薬毒物分析の迅速化と信頼性の確保
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24790637
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
臼井 聖尊 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80567884)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | キャッチャーズ / QuEChERS / LC-MS/MS / 法中毒 / 薬毒物分析 |
Research Abstract |
新たに薬毒物検査機器を導入し,検査体制を構築しようとする解剖実施機関において,最初に直面する問題は試料の抽出方法である.薬毒物の抽出法には様々なものが知られているが,対象とする薬毒物,試料の種類,量,状態によって使い分ける必要があり,分析初心者にとっては難しい選択となる.そこで,経験の少ない分析者でも,簡単かつ質の高いデータを提供できるようにすることが本研究の目的である. 本年度は基礎実験として,法医学上重要とされている薬毒物の一部について,キャッチャーズ法(QuEChERS)によるヒト全血試料中から薬毒物の抽出を試みた.これまでに報告されているQuEChERS法を参考にしながら,全血試料への最適化を行った.具体的には,(1)抽出ステップでは,試料の希釈倍率やQuEChERS試薬の添加量の調整を行ない,最適と思われる値を設定した.しかし,一部の水溶性の高い薬毒物では抽出が困難であることもわかってきた.(2)精製ステップでは,いくつかの市販の分散型固相抽出(dSPE)を用いて精製の検討を行った.その結果,酸性薬物と塩基性薬物では最適なdSPEが異なり,使い分けが必要となることもわかった. 本年度の基礎実験の結果から,QuEChERS法でほとんどの薬毒物が抽出可能であることがわかった.今後は抽出効率など詳細な検討を行ない実務におけるデータを取得していく.また,一部水溶性の高いものについては,QuEChERS法の条件を変更し再検討を行なう予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目的は、キャッチャーズ(QuEChRES)を改良し,経験の少ない分析者でも,簡単かつ質の高いデータを提供できるようにすることである.その中で本年度は、QuEChRES法について基礎的な実験を行ない、抽出法の条件をある程度絞り込むことであった。具体的には,(1)抽出ステップにおいて,試料の希釈倍率やQuEChERS試薬の添加量の調整を行ない,(2)精製ステップでは,いくつかの市販の分散型固相抽出(dSPE)を用いて精製の検討を行った.その結果、広範囲に薬毒物を抽出できる条件をいくつか絞り込むことに成功したので,次年度の研究にスムーズに移行できる。一部水溶性の高い薬毒物については、抽出が困難であり条件の再検討を実施することになったが、研究全体としてみればおおむね計画通りであった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度に抽出可能であることが判明した薬毒物については、バリデーションのガイドラインに沿って、特異性、検量線の直線性、再現性や抽出効率などを詳細に決定していく予定である。バリデーション作業の完了後は、実際の法医試料に応用し、その有効性を確認する。特に法医試料に特徴的な変性・腐敗した試料における定量値の比較検討を行う.また、水溶性の高い薬毒物については抽出が困難であったことから、一部条件を変更し再検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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