2012 Fiscal Year Research-status Report
SuperSAGE法を用いた心臓、甲状腺、副腎における低体温症マーカー検索
Project/Area Number |
24790641
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
高宮 正隆 岩手医科大学, 医学部, 講師 (30364334)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 副腎 / 心臓 / 低体温症 / トランスクリプトーム / DNAマイクロアレイ法 / 定量PCR法 |
Research Abstract |
法医診断に有用な低体温症マーカーの検出を目的として、マウス低体温症モデルを導入し、副腎のトランスクリプトーム解析をDNA microarray法を用いて行った。 有意差を持って発現変動していた遺伝子は4051個であり、2015個は有意に発現が上昇しており、2036個は有意に発現が減少していた。具体的には、最も発現が上昇していた遺伝子はFBJ osteosarcoma oncogeneで、最も発現が減少していた遺伝子はstearoyl coenzyme A desaturase 3であった。さらに遺伝子セット解析を行ったところ、有意に変動している遺伝子セットが9個が確認され、またtransforming growth factor β、tumor necrosis factor αが低体温症の発症に関与していることが示唆された。Gene functional category analysisにおいては、発現上昇遺伝子、発現減少遺伝子とも最も発現していたカテゴリーはbiological processにおいてはcellular process、molecular functionにおいてはbinding、cellular componentにおいてはcell、cell partであった。 本検討により低体温症における副腎の遺伝子変動が示され、副腎における遺伝子発現は低体温症診断に有用なマーカーとなりうると考えられた。実際の法医診断においてはタンパクが重要な役割を果たすと考えられるが、これらデータはヒト組織を用いた免疫組織学的検討への応用が可能である。また低体温症病態を明らかにするという観点からは臨床医学上も重要なデータと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子発現解析にSuperSAGE法を用いるべく準備を進めたが、発現遺伝子の相互関係の解析においてDNAマイクロアレイ法から多くの情報が得られると考えられたことから、トランスクリプトーム解析はDNAマイクロアレイ法を用いて行っている。24年度はマウス副腎の遺伝子発現解析を完了させたが、引き続き、低体温症のおけるマウス心臓のDNAマイクロアレイ解析を行った。この心臓の検討におけるDNAマイクロアレイデータは回収済みで、データの解析を遂行中である。 DNAマイクロアレイ法は高額な実験方法であり、予算上、24年度は上記段階までの施行なったが、検討自体は、おおむね順調に行われ、25年度の検討に十分、応用可能なデータになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に、低体温症におけるマウス心臓の遺伝子発現解析をDNAマイクロアレイ法を用いて行い、データ回収まで行った。これらデータの解析を遂行中であるので、今後も引き続き、データ解析を行うが、心臓における遺伝子変動を考察するのみならず、遺伝子発現からみた低体温症における、副腎と心臓の関係についても検討を加える。また心臓において有意に変動していると考えられた遺伝子については、その再現性を定量PCR法を用いて確認する。 実際の法医鑑定においては、タンパクが重要な役割を果たすと考えられる。当講座にはヒト低体温症例の若干の蓄積があることから、マウスモデルにおいて有意に変動していたと考えられる因子について、免疫組織学的手法を用いて、実際のヒト副腎、心臓で検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
定量PCR法に用いる試薬は高額であることから、一定の研究費が確保できていない段階では施行が難しい。また定量PCR法自体が一定期間に集中して行うほうが、データのばらつきを抑えるという観点からも効率的と考えられる。24年度はマウス心臓のDNAマイクロアレイを行った段階で、研究費が約16万円が残ったが、DNAマイクロデータ解析にさらに時間を要することが予想された。また上記の如き状況があることから、定量PCR自体を25年度に行うこととし、これら予算を次年度に持ち越すこととした。 25年度はマウス心臓のDNAマイクロアレイデータの検討が完了次第、有意に変動していると考えられた遺伝子の再現性を定量PCRを用いて確認する予定で、これら検討に研究費を使用する。さらにヒト組織を用いた免疫組織学的検討も予定していることから、これら試薬にも研究費を使用する。
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Research Products
(1 results)