2012 Fiscal Year Research-status Report
催眠薬代謝物の合成,分析及び催眠薬代謝に対する法医学的アプローチ
Project/Area Number |
24790646
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山口 晃志 日本医科大学, 医学部, 助教 (90465344)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トリアゾラム / アルプラゾラム / グルクロン酸抱合 / LC/MS |
Research Abstract |
トリアゾラム、アルプラゾラムの尿中主要代謝物である、α-ヒドロキシトリアゾラム(HT)、α-ヒドロキシアルプラゾラム(HA)のグルクロン酸抱合体を合成した。 まず合成前駆体としてHT、HAがグラム単位で必要である。HT及びHAはそれぞれ相当する2-アミノベンゾフェノンから、4ステップで合成できた。 続いてグルクロン酸部分を導入するため、保護基を有するグルクロン酸のトリクロロアセトイミデートを合成した。グルクロノラクトンをメタノール中NaOMeで処理した後、ピリジン存在下塩化イソブチリルと反応させて1,2,3,4-テトラ-O-イソブチリル-β-D-グルクロン酸メチルを得た。さらに、トリブチルスズメトキシドを作用させて1位のイソブチリル基を脱離させた後、トリクロロアセトニトリルと反応させて2,3,4-トリ-O-イソブチリル-O-(トリクロロアセトイミドイル)-β-D-グルクロン酸メチル(1)合成した。1とHTもしくはHAをBF3OEt2存在下で反応させ、グルクロン酸部分をHT及びHAに導入した。 最後に保護基の脱離を試みた。アルカリ性条件下でイソプロピル基及びメチル基を脱離させた。生成物はSepPakC18で精製した。NMR及び質量分析の結果からほぼ純粋なものが得られていると考えられるものの、元素分析では不純物を含有している可能性が示唆された。現在、さらなる精製を試みている。 得られたグルクロン酸抱合体はLC/MSで分析した。グルクロン酸抱合体は非常に親水性が高いことが知られているが、HT及びHAのグルクロン酸抱合体は、一般的なC18の逆相カラムで保持することができ、通常のLC/MSシステムで分析可能であった。また、トリアゾラムもしくはアルプラゾラムを摂取したヒトの尿に、これらが含まれていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グルクロン酸抱合体はほぼ順調に合成できた。特に、グルクロン酸部分の導入はベンゾジアゼピン系薬物が複雑な構造を有するにもかかわらず、十分実用的な収率で合成可能であった。しかし、最終生成物の精製が困難であった。当初、保護基の脱離がうまくいかなかったが、さまざまな条件を試みることで徐々に改善している。NMRや質量分析の結果からほぼ純粋のものが得られていると考えられるが、純度が保証された標準品として使用できる状態になっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
合成したα-ヒドロキシトリアゾラム及びα-ヒドロキシアルプラゾラムのグルクロン酸抱合体(以下HTGlu及びHAGlu)が標準品として使用できる純度になるよう、精製法を再検討する。 その後、HTGlu及びHAGluの分析法を確立を目指す。HTG及びHAGは親水性が高いものの、通常のLC/MSシステムで分析可能であったことが明らかになっている。そこで、除タンパクや固相抽出などの前処理法と、LC/MS分析を組み合わせて分析バリデーションの確立を目指す。 さらに、これまで得られたノウハウを活かし、リルマザホン、ソルピデムなどの代謝物合成にも取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成に関しては、必要な器具は概ね購入してあるため、試薬など消耗品の購入が主なものとなる。 分析に関しては、分析カラムに加えて固相抽出カートリッジなどの前処理消耗品などが主なものである。 また、結果を論文を発表する際の英文校正費などが必要である。
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