2014 Fiscal Year Annual Research Report
催眠薬代謝物の合成,分析及び催眠薬代謝に対する法医学的アプローチ
Project/Area Number |
24790646
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山口 晃志 日本医科大学, 医学部, 講師 (90465344)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゾルピデム / 胆汁 / LC-MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
ゾルピデムは日本で最も多く販売されている睡眠薬である。そのためしばしば犯罪にも用いられている。このゾルピデムの代謝物のうち、体内に長く留まる代謝物は、睡眠薬使用を立証する上でとても有用な物質になる可能性がある。本研究では、胆汁に蓄積しているゾルピデム代謝物についてその構造を明らかにすることを目標とした。 ゾルピデムを服用していた死者の胆汁及び尿に含まれるゾルピデム代謝物について、LC-MS/MSで分析した。既知の代謝物であるゾルピデムのメチル基の水酸化体の他に、新規水酸化体が検出された。この水酸化体の構造をMS/MSにより解析したところ、ピリジン環が水酸化されていることが分かった。胆汁抽出液のクロマトグラム上に現れたピークの高さから推測すると、この水酸化体は既知の水酸化体よりも濃度が高いことが予想された。 新規代謝物の水酸基の位置を明らかにするために、標準品の合成を試みた。ピリジン環には3つの未置換水素(8、7、5位)があるが、このうち8-ヒドロキシゾルピデムを合成した。合成は2-アミノ-3-ブロモ-5-メチルピリジンと3-(4-メチルベンゾイル)プロピルジメチルアミドとの反応により8-ブロモゾルピデムを合成した後、臭素をメトキシ化し、脱メチル化により合成した。 しかしながら、得られた標準品を同じ条件でLC-MS/MS分析したところ、保持時間が胆汁抽出物から検出されたものと異なっていた。この結果から、水酸基の位置は8位ではなく、7位もしくは5位が水酸化されたものであると考えられた。5-ヒドロキシ及び7-ヒドロキシゾルピデムの合成と胆汁抽出物中のものとの照合は今後の課題である。
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