2012 Fiscal Year Research-status Report
高温気化固相マイクロ抽出法の開発:血中薬物GC-MS分析の迅速化を目指して
Project/Area Number |
24790647
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
ウォーターズ ブライアン 福岡大学, 医学部, 助教 (00609480)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | methamphetamine / amphetamine / headspace / SPME / fast GC-MS/MS |
Research Abstract |
本研究で、私はメタンフェタミン、アンフェタミンを主とする濫用薬物を分析する迅速・簡便で、特異的な方法を開発しようとしている。今年度は、分析を最適化する、いくつかの条件を決定したことが重要だった。この最適化は、なるべく迅速で効率的な分析を可能にするだろう。私が本研究において検討を行った、具体的な条件は全血の前処理、気化温度、ファイバー吸着時間であった。これらの条件を変えることによって、標的物質と内部標準物質の回収率を最大にし、分析をより特異的に、そして強固にすることができる。 最初に、全血の前処理の最適化を試みた。全血は従来の方法で分析物を抽出するには、問題のあるマトリックスである。そこで、刺激性の有機溶媒や、高価な固相抽出媒体を使用せずに、血液マトリックスから標的物質を抽出する、固相マイクロ抽出(SPME)法を我々は用いている。全血の前処理の検討についてはこれまで有意な結果は得られず、なお検討中である。 検討を行った2番目の条件は気化温度についてで、これは全血中の標的物質が、分析用バイアルの気相中に気化する温度である。標的物質の分子量が大きいために、非常に高い温度が化合物の気化に必要とされる。バイアルをセットしたホットプレートの温度は200-240℃の範囲で検討を行った。その結果、SPMEファイバーへの薬物吸着に最適な気相温度は220℃に決定した。 検討を行った最後の条件は、ファイバー吸着時間についてで、これは温められたバイアルの気相に、SPMEファイバーが曝露される時間である。ファイバーをバイアル中に挿入し、5-15分の吸着時間について検討を行った。その結果、ファイバーの最適な吸着時間は7分に決定した。 今年度は、分析の最適な条件のいくつかを決定することに成功した。これらの条件が設定され、本研究の焦点は、最も迅速で効率的な分析を可能にする分析機器の条件の検討になるだろう。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、分析に関連した試料調製と機器設定について、主に至適条件の検討を行った。最終的には実際の鑑定例での分析に応用することを目指し、本研究は当初の予定通り進行しているものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画のように、今年度得られた結果を基に、更に検討を重ね、実際の鑑定例に応用しうる薬物スクリーニング法を作成し、確立できたものから、学会発表、論文として誌上発表することを通じ、社会・国民に還元する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、本研究費で購入した消耗品が、当初想定していたよりも安価に入手できたことにより、次年度使用額が発生した。今後は本研究における検討内容も増え、更なる消耗品の消費が想定されることから、次年度使用額は物品費として使用する予定である。
|