2012 Fiscal Year Research-status Report
MR組織学技術を用いたヒト剖検脳の組織構築画像による病理診断法の開発
Project/Area Number |
24790648
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
金涌 佳雅 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (80465343)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 法医学 / 法医解剖 / 磁気共鳴画像 / MR組織学 |
Research Abstract |
【1.予備実験の実施】法医解剖で摘出したホルマリン固定臓器に最適と考えられる磁気共鳴画像(MRI)撮像条件について探索し,性別,年齢,死因,死因の種類,死後経過時間,病歴との関わりを含めて検討した。また,脳や心臓などの各種臓器のT1値,T2値を計測し,ホルマリン固定の影響や,死後経過時間による変動を検討した。これらの結果を学会にて報告した。本予備実験は,死後経過時間別の固定臓器T1値・T2値を世界で始めて詳細に計測したものであり,今後の本実験に向けての重要な基礎データとなるばかりではなく,これ自体が論文として報告される価値がある重要な知見である。 【2.MR組織学撮像実験】ヒト剖検固定脳の内,大脳皮質,海馬,大脳基底核,脳幹などの領域をガドリニウム造影剤などに浸漬させた後にMRI撮像し,高分解能画像の取得すると共に,S/N比やC/N比の変化を検討した。先行研究で示唆された高解像度画像撮像の成功に向けて,平成24年度は基礎データの蓄積を行った。 【3.剖検摘出脳撮像予備実験】剖検摘出脳の臨床用MR装置で撮像した場合,MR組織学画像に匹敵する解像度が達成できるか予備的に実験を行い,平成25年度以降の本実験用の各種データを収集した。 【4.画像アトラスの整備】実験で撮像したMR画像や,各種の肉眼・組織写真は,専用のPCと画像解析ソフトを調達・入手の上,今後の分析作業を効率的に実施できるように整備に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画にほぼ沿って研究実験を遂行はできているが,症例数は若干予定よりは少なくなったと認められる。 ただし,学会発表には十分な症例数ではあったことから,その学術的成果を直ちに報告し,今後の学術論文での公表に向けて追加実験をしたことで,平成24年分の研究実験計画により,研究の目的は順調に達成しつつあると,総合的に評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画としては、平成24年度に実施したのと同様に,法医解剖により摘出された脳組織のMR組織学画像撮像実験を継続する。平成25年度では,前年度の実験結果を踏まえて,造影剤などの浸漬液の種類・濃度,浸漬時間も変化させ,診断上有用なMR組織学技法の新規探索を行なう。 MR組織学画像のS/N比やC/N比などの精度解析や,MR組織学正常画像アトラス整備,検体の病理組織標本作成と顕微鏡写真撮影と記録については,平成24年度と同様に継続する。 平成24年度に実施した予備実験の結果については、撮像条件と死後経過時間やホルマリン固定時間との関係について解析を加えた後、学術集会ならび専門誌へ学術論文として投稿し,その成果を発表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MR組織学画像撮像実験に必要な消耗品費・試薬費・実験動物費を支出し,実験を継続する。また,所属機関外で撮像実験を実施する予定であるので,所要の人件費・謝金・旅費を支出する予定とする。 平成25年度はより高次の撮像方法や解析方法を駆使する必要があるので,専門技術や知識を修得する目的で,必要な講習等の受講を実施する。 関連分野の研究者と本研究に関わる研究協議を実施し,円滑な研究遂行を図るために,必要な旅費を支出する。 平成25年度に得られた学術的成果を迅速に還元するために学術発表を適時実施するために,必要な旅費・英文校正費等の支出を実施する。
|