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2012 Fiscal Year Research-status Report

塩素曝露証明のためのバイオマーカー開発と実用化に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24790651
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionNational Research Institute of Police Science

Principal Investigator

大沢 勇久  科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (30370886)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords塩素ガス / バイオマーカー
Research Abstract

遊離アミノ酸の塩素化体の高性能分析機器を用いた分析法の開発のため、購入及び合成したチロシンの塩素化体(3-クロロチロシン、3,5-ジクロロチロシン)の標品を用いて検討を行なった。
GC-MSを用いた手法では、チロシン残基内のカルボキシル基をn-プロピルエステル化、アミノ基をヘプタフルオロブチリル化と二段階で誘導体化し、微極性のカラムを用いたGCで分離し、メタンを試薬ガスとした化学イオン化を行ない、ネガティブイオンモードで四重極MSで分析することにより、それぞれ数fgの導入で検出が可能という高感度分析が達成された。
LC-MSを用いた手法では、逆相カラム(ODS)を用いて分離し、ESIポジティブイオンモードでの検出を検討したが検出感度が十分でなかった。したがって、改良するためカルボキシル基をn-プロピルエステル化により誘導体化した後、MS/MSを用いたMRMにより検出して分析することとしたところ、数百pgの導入で検出が可能となり、スクリーニング目的として十分な高感度分析が達成された。なお、チロシンのリン酸緩衝溶液に次亜塩素酸ナトリウムを添加して反応させたところ、チロシンの塩素化体が生成することが確認できた。
ヒトの生体試料中でのチロシンの塩素化体のバックグラウンドでの存在量を調べるため、健常人の尿試料を用いて調べたところ、チロシン自体は文献値の濃度範囲である数十μg/mL程度検出されたものの、チロシンの塩素化体は検出限界以下であった。一方、尿に次亜塩素酸ナトリウムを添加して反応させたところ、チロシンの塩素化体が生成したことが示唆される結果が得られたことから、健常人尿中のバックグラウンドのチロシンの塩素化体の濃度は極めて低いと考えられた。したがって、塩素ガス曝露のバイオマーカーとして尿試料中のチロシンの塩素化体を分析することが有望であると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

タンパク質内在性のチロシン残基の塩素化を調べるため、初年度から精製タンパク質等の標品を用いて次亜塩素酸ナトリウムあるいは気体塩素による塩素化を行なって生成物の分析を行なう予定であったが、初年度中には完了せず現在行なっているところである。これは、遊離のチロシンの塩素化体のバイオマーカーとしての有用性を検証するために次年度に行なう予定であった生体試料(尿)からの分析法の開発を順序を入れ替えて先に行なったためである。したがって、タンパク質内在性のものの分析については次年度以降に行なうことで計画に沿わせることが十分可能であり、計画全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

(1)精製タンパク質等の塩素化体の解析
タンパク質内在性のチロシンの塩素化について分析法を開発する。遊離アミノ酸として分析するための酸・アルカリによるタンパク質の完全分解および生成物の精製法について条件を決定する。また、消化酵素により断片化したペプチドをプロテオームの手法で分析し塩素化部位等についての情報を得るため、分析条件の決定を行なう。
(2)脂質のクロロヒドリン化体の解析
塩素ガス曝露証明のための別のバイオマーカーとなりうる二重結合をもつ脂質(コレステロール等)の標品を用い、次亜塩素酸ナトリウムあるいは気体塩素と反応させ、その生成物(クロロヒドリン化体等)の分析法を開発する。機器分析条件の検討を行ない最適化する。
(3)バイオマーカーの安定性についての検証
肝ミクロソーム等を用いたバイオマーカー分子の代謝・分解系を構築し、バイオマーカー分子のヒト体内での減少速度及び代謝生成物等についての知見を得る。また、生体試料中でのバイオマーカー分子の安定性を明らかにするため、時間経過に伴う試料中バイオマーカー分子の変動について分析する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

安定同位体標識標品を作製するための試薬の購入に使用する計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 塩素ガス曝露のバイオマーカー の分析について

    • Author(s)
      大沢勇久、大森毅、金森美江子、柘浩一郎、近藤友秀、瀬戸康雄
    • Organizer
      日本法科学技術学会
    • Place of Presentation
      ホテルフロラシオン青山(東京都)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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