2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の無症候性脳所見が日常生活機能障害に及ぼす影響の縦断的評価
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24790654
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨田 尚希 東北大学, 大学病院, 助教 (00552796)
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Keywords | 大脳白質病変 / 無症候性脳血管障害 / 手段的ADL / データベース |
Research Abstract |
岩手県大迫で1998年に行われた健診の受診者総数4628人のデータと、2005年に行われた2回目の健診の受診者数1289人のデータを入手し用意したデータベースに登録して解析を進めている。これらの受診者のうち、双方の健診をともに受診した患者は935人確認された。この935人については両年ともに手段的ADLの状態が老研式活動能力評価指標(TMIG)にて記録されていた。また基本的ADLやその他手段的ADLに影響を及ぼし得る年齢・性別・BMI・喫煙飲酒歴・各種既往歴(血管障害・高血圧・脂質異常症・糖尿病・心房細動)についての記録も確認された。1998年の健診と実施時期が一致している頭部単純MRIによる健診のデータについても入手・確認している。この健診の撮像は1.0テスラであり、撮像断面数・断面方向等の撮像条件がVBM(定量画像解析)が実施できる条件ではない。このため連続量としてではなく、所見の有無や所見の強さをカテゴライズしたカテゴリー変数として解析を進めている。具体的には大脳白質病変の程度のFazekaz分類(PVHとDWMLは区別できず)、脳梗塞・脳出血痕の有無と大きさで分類している。 7年間のADLの経過について、ベースライン調査時期(98年)に実施しているMRI健診データの無症候性脳所見(特に白質病変の程度)で層別化した各層ごとに、TMIGの値を集計し、比較検討している。現在までの解析では有意な差は見出されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅延の最大の理由は研究室スタッフ、特に医師の減少により臨床業務の比重が大幅に増えていることである。現時点では教授・大学院生を除きスタッフは5名で研究開始時から半数近く減少、大学病院での外来・入院業務の増大に加え、担当している医学部5年生の実習コマ数や研究室全体での担当プロジェクトも倍近くに増えている。このため申告していた当初のエフォートを大幅に下回ってしまっている。 また、健診を主催している教室を通じて介護保険情報の取得可能性についてお伺いしたが、現在まで入手ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは健診を主催している研究室からいただいたデータベース情報の集計・解析作業を行い、その結果必要な追加情報をより具体的に選別したうえで改めて追加入手の申し込みを行おうと計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は当初計画していた過去の健診データの解析が次年度に遅延していることで生じたもので、延期した解析を終了し、その解析に併せて追加の情報収集を進めるのに必要な経費として平成26年度請求額と併せて使用する予定である。 今回の研究では、無症候性脳所見の状態により、その後のIADLの程度に変化が出るか、community populationで確認するものである。今後の作業のポイントとしては、(1) IADLのどのようなカテゴリーが変化を来たしやすいかの検討、(2) 夜間高血圧と無症候性脳所見の関係など、本コホートでしかできない検討を整理する、(3)要介護認定情報、血液マーカーなど追加で収集すべき項目についての整理とそれらの情報を取得するための交渉、である。統計解析ソフトの契約更新、学会参加、論文まとめ、追加情報収集などで使用していく予定である。
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