2014 Fiscal Year Annual Research Report
虚弱性と遺伝子変異、薬物相互作用を踏まえた高齢者薬物療法の効果、副作用評価
Project/Area Number |
24790658
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊奈 孝一郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (60566983)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 老年医学 / 高齢者の薬物療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者は罹患疾患が多く侵襲的医療も限られ、薬剤治療の比重が大きい。最終年度であり、データ解析を中心に、高齢者の薬物療法について、老化や抗動脈硬化作用などへの作用について臨床及び基礎的に検討した。高齢入院患者294人(平均年齢:84.5±7.5歳)の検討では、入院時多剤投薬傾向であったが、入院を契機に薬剤数は7.0±4.0個から5.4±3.3個と減少を認めた。高齢者は入院すると自宅に戻れなくなる方も多く、その場合、在院日数も約1か月と約2倍に延長した。退院後のことを早期に考えて対応していく必要がある。降圧薬の検討では、カルシウム拮抗薬は内皮細胞老化制御作用を認めた。また糖尿病や高血圧などに罹患し、薬物療法を受けている高齢者において、遺伝子関連、ADL等の関連について検討した。遺伝子関連としては、後期高齢者テロメア長測定の意義についても検討した。末梢血単核球のテロメア長短縮は、生命予後と関連する可能性が示唆される一方、虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病等の様々な疾患で認められ、酸化ストレスとの関連が示唆されている。一方これらの多くの成績は非高齢者に行われたもので、高齢者、特に後期高齢者での検討は少なく知見もわずかである。我々は主に後期高齢者(平均年齢85.2±8.2歳)130人に基礎疾患、末梢血単核球テロメア長を含め検討した。テロメア長と寝たきり、高血圧、糖尿病、脂質異常症、脳梗塞、認知症に有意な相関は認めなかった。また欧米で静脈血栓症の危険因子として知られている Prothrombin G20210A、FactorⅤ Leiden は検出されなかった。最終的に、疾患との有意な関連性は認められなかった。後期高齢者のバイオマーカーとしての可能性を期待したが、有意な相関は得られなかった。
|
Research Products
(4 results)