2013 Fiscal Year Annual Research Report
腸管グリア細胞の動態・ストレス応答からみた機能性ディスペプシアの病態解析
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24790659
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 史生 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 後期臨床研究医 (20623292)
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Keywords | 神経科学 |
Research Abstract |
【方法】Rome-III基準を満たす20~80歳の機能性ディスペプシア(functional dyspepsia; FD)患者6名と健常者3名を対象に,質問紙票での調査,十二指腸下行部から組織を採取し下記項目を比較検討した.心窩部痛・心窩部灼熱感・早期飽満感・食後のもたれ感の4つのディスペプシア症状強度を7点Likert scaleで,身体化障害はPatient Health Questionnaire-15を用い評価した.上皮細胞間距離を透過型電子顕微鏡で観察,計測した.十二指腸粘膜内グリア細胞由来神経栄養因子(Glial cell line-derived neurotrophic factor; GDNF)蛋白発現量をELISA法で,グリア細胞マーカーであるS100β,細胞接着因子mRNA発現量をRT-PCR法で解析した.GDNFの局在は蛍光免疫染色を行った.【成績】FD患者群は健常者群に比し,食後愁訴症候群に属する症状強度(P=0.02),身体化障害スコア(P=0.04)が有意に高かった.抑うつ・不安は有意差を認めなかった。FDでは上皮細胞間距離が延長し,接着結合の開大を認めた (20.0±1.8 vs. 31.0±2.8 nm, P=0.03).またGDNF蛋白発現量が有意に亢進し (53.3±17.7 vs. 113.8±11.8 pg/mg protein, P=0.01),上皮細胞間距離と正相関を示した (P=0.032, r=0.81)。細胞間距離と食後のもたれ感との相関性は強かった (P=0.06, r=0.86).GDNF発現量と心窩部灼熱感,食後のもたれ感は相関傾向であった (P=0.06, r=0.52; P=0.06, r=0.65).GDNFは絨毛先端部のグリア細胞,陰窩基部の炎症細胞に局在していた.mRNA発現量はいずれも有意差がなかった.【結論】FD患者では十二指腸上皮細胞間距離の開大,粘膜内GDNF蛋白発現の亢進が認められ,症状発現に関与する可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)