2013 Fiscal Year Annual Research Report
閉経における慢性腎臓病が血管石灰化を助長する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
24790666
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
打和 大幹 久留米大学, 医学部, 助教 (30624506)
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Keywords | 血管石灰化 / 慢性腎臓病 / 閉経 / 血管内皮機能障害 |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)は心血管病発症の強力な危険因子であり、心腎連関という概念が提唱されている。しかしながら、CKDが心血管イベントを引き起こすメカニズムは明らかではなく、CKDによる心血管イベントを予防する治療法は確立していない。我々は慢性腎臓病による血管内皮障害と血管石灰化に注目した。最近になり、中程度の慢性腎臓病を有する閉経女性は独立した心血管イベント発症の危険因子であることが報告された。そこで慢性腎臓病を有する閉経女性においての血管石灰化および骨粗鬆症の出現に関する分子機序の解明を試みた。雌C57BL/6Jマウスに5/6腎臓摘出と卵巣摘出を行った。Sham群、腎臓摘出群、卵巣摘出群、腎臓摘出および卵巣摘出群の4群で比較を行った。手術後3ヶ月での血管および心臓の評価を行ったが、4群において大動脈石灰化、中膜・内膜肥厚、血管線維化、血管・血管周囲炎症は認めなかった。手術後6ヶ月まで観察期間を延長したが同様の結果であった。血管石灰化をきたすモデルを作成するためには、よりRAA系を活性化させたモデルで検討することや高リン血症にさせたモデルで検討を行う必要があると考えた。次に、糖尿病治療薬であるDPP4阻害剤が血管内皮機能異常を改善するとの報告がなされたことを受け、慢性腎臓病による血管内皮障害に対してDPP4阻害剤が有効かどうかを検討することとした。5/6腎臓摘出マウス(CKDマウス)にDPP4阻害剤を投与したところ、腎臓摘出マウスと比較しeNOSのリン酸化が改善する傾向であった。現在同モデルにおいてeNOSの上流の細胞内シグナル伝達経路の解明を行っている。
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