2013 Fiscal Year Annual Research Report
シクロスポリンによる制御性T細胞を介したTGF-βの発現調節
Project/Area Number |
24790673
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
櫻庭 裕丈 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (90422063)
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Keywords | シクロスポリン / 炎症性腸疾患 / 腸上皮アポトーシス / TGF-β / IL-22 |
Research Abstract |
炎症疾患動物実験腸炎モデルにおいてシクロスポリンが腸管粘膜局所でのTGF-βシグナルの発現を高めることにより腸上皮細胞アポトーシスを介した粘膜障害を抑制することを明らかにしている(Am J Physiol,2009;297)。またTGF-β発現増強効果はT・B細胞の欠損したSCIDマウスでは認めず、シクロスポリンによる粘膜障害抑制効果も認めないため、T, B細胞がその調節メカニズムに関与していることを想定した。T・B細胞の欠損したSCIDマウスに野生型マウスの脾臓より分離したCD4+CD25+制御性T細胞を移入後に腸炎を誘発。シクロスポリン投与により腸炎抑制効果を認め、腸管局所でのTGF-β;の発現増強と腸上皮アポトーシス増加抑制効果を認めた。また、抗TGF-β抗体投与によりその効果は相殺された。分離したCD4+CD25+制御性T細胞をシクロスポリンで刺激培養してもTGF-βの発現増強は認めなかった。従ってシクロスポリンによるTGF-β発現調節を介した腸管粘膜障害抑制効果には制御性T細胞の存在が不可欠であるが、直接作用ではないことが明らかとなった。介在する因子としてIL-10ファミリーに属するサイトカインの1つであるIL-22に注目し腸管上皮細胞のIL-22受容体-STAT3制御を介した効果について検討した。その結果、シクロスポリン投与により腸管局所のIL-22の発現増強と腸上皮細胞IL-22受容体の発現増強を認め、かつ抗IL-22抗体投与により腸管粘膜障害抑制効果が相殺された。また抗TGF-β;抗体投与によりシクロスポリン投与による腸上皮細胞IL-22受容体の発現増強効果が相殺された。シクロスポリンによるTGF-β発現調節とIL-22-STAT3シグナル調節の関連による腸上皮細胞アポトーシス制御が示唆された。
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