2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト膵癌増殖制御因子のRNAi/miRNA機能スクリーニング法による探索
Project/Area Number |
24790683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉谷 昌志 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90532739)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵癌 / マイクロRNA / 機能スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、代表的な難治性固形癌である膵がん(膵管上皮がん)の新たな治療戦略を検討するために、遺伝子発現とは独立して形質関連遺伝子を同定する方法である機能スクリーニング(functional screening)系ならびに、これにより同定された遺伝子の機能解析をすることにより膵癌の新規治療薬の開発候補となる可能性がある新しい治療標的を明らかにすることを目的としている。機能スクリーニングに使用するカスタムマイクロアレイの設計と作成、免疫不全マウスを用いたin vivo機能スクリーニングの結果、膵がん抑制的マイクロRNA候補が複数同定された。すなわち、約600種類のマイクロRNA前駆体(400-500bp)を発現するレンチウイルスライブラリーのクローンを検出するために、これらを特異的に検出する約1,200種類のプローブを eArrayソフトウェア(Agilent)で設計し作成したオリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いて、膵がん細胞株やマウス個体においてマイクロRNAライブラリの導入前と導入後のクローン数を半定量的に比較することにより膵がんの増殖を抑制するマイクロRNAが複数同定された。なお、免疫不全マウスについてはNOGマウスを用いて皮下ならびに同所移植(膵臓)にて行われたものである。これらマイクロRNAのうち、microRNA-34(miR-34)はすでに大腸がんを始めさまざまながん腫でがん抑制的マイクロRNAとしての報告があるが、miR-34を導入した膵がん細胞株の遺伝子発現マイクロアレイの解析により、細胞周期に関与するパスウェイがその腫瘍増殖抑制効果の作用機序の一つと考えられた。発達しつつあるドラッグデリバリーシステムとの組み合わせにより、miR-34は膵癌の新規治療法開発へとつながる可能性が考えられた。
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