2013 Fiscal Year Research-status Report
がん選択的生物製剤を用いた早期大腸癌の超低侵襲治療の開発
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24790700
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 浩行 岡山大学, 大学病院, 助教 (50613155)
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Keywords | 大腸癌 / アデノウイルスベクター / 内視鏡治療 |
Research Abstract |
早期大腸癌は、内視鏡的粘膜下層剥離術などの内視鏡的治療により,根治が望める可能性が高い。しかし、早期大腸癌でも粘膜下層まで浸潤している場合は、約10%にリンパ節転移を認めるため、標準治療はリンパ節郭清を伴った外科的切除とされている。我々は、以 前、がん細胞で高発現しているテロメラーゼの構成成分の一つであるヒトテロメラーゼ逆転写酵素のプロモーター依存性に、がん細胞で選択的に増殖し細胞死を誘導するアデノウイルス製剤(OBP-301)を開発し、それを進行直腸癌へ局所投与することにより、ウイル スが領域リンパ節に到達し、リンパ節の転移病巣内で増殖してリンパ節転移を幾分、抑制できることを報告した。このOBP-301は、米国において各種進行固形癌患者に単独投与され、平成20 年で第I相臨床試験が終了し、その安全性と臨床効果が確認されている。我 々は、リンパ節転移の危険性が10%程度あるばかりに、リンパ節廓清のための外科手術が必須とされている大腸癌の粘膜下層浸潤癌症例において、(内視鏡的)腫瘍切除の際に腫瘍近傍へ増殖型ウイルスOBP-301 の注入を併用するという非常に簡便・低侵襲な処置で、 外科治療の必要性の根拠となっているリンパ節転移を制御できないかと考えた。2年目である平成25年度には、前年度に作成した本研究に最適な抗がん効果の判定のための直腸がんマウスモデルを実際に用いて、OBP-301の投与量を段階的に増量して至適投与量を検討した。腫瘍の局所切除の際にOBP-301を併用することによりリンパ節転移の抑制が期待できるデーターが得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目である平成25年度も、前年度に引き続いて、腫瘍切除とTelomelysin の併用はリンパ節転移を抑制できるかを検討している。 ①Telomelysin の必要投与量についての検討。 ②OBP-301併用下に局所切除した後の、再発の有無の検討。 などに関して、有望な結果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の続きとして、腫瘍切除とOBP-301の併用によるリンパ節転移の抑制に関する検討を継続する。さらに、ウイルス以外の抗腫瘍薬や、他のウイルスベクターとの比較も行う。
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Research Products
(5 results)