2012 Fiscal Year Research-status Report
部分的脾動脈塞栓術と自己骨髄細胞投与療法を組み合わせた新規肝線維化改善療法の開発
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24790704
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 剛 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20569305)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肝線維化 / 門脈圧亢進症 / 自己骨髄細胞投与療法 / 部分的脾動脈塞栓術 |
Research Abstract |
我々は2003年11月より世界に先駆けて、臨床研究『非代償性肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法 (ABMi療法)』を推進しているが、現状での効果は「肝機能の改善・維持」が主たるものであり「肝線維化改善」という観点での検討は未だ十分とはいえない。我々は動物(マウス)実験において脾臓摘出術(脾摘)が肝線維化改善を促進することを報告し、さらに臨床研究において部分的脾動脈塞栓術(PSE)が単球/マクロファージ分画の有意な増加を伴って抗肝線維化作用を導き出すことを証明した。脾摘とPSEは理論的には類似した効果をもたらすと考えられるが、非代償性肝硬変患者にとってはPSEの方が明らかに低侵襲であり、PSEとABMi療法を組み合わせることで「線維化改善」の相乗効果が期待できる(PSE先行ABMi療法)。 当該年度では、1年間で18症例(肝硬変患者)にPSEを施行し、大きな偶発症を発生させることなく全症例で一定の効果が得られた。今後PSE先行ABMi療法を推進するにあたって、技術の確立を図ることができた。 また、PSEのマウスモデルは過去に報告されておらず、肝硬変に伴う脾機能亢進症患者に我々が施行しているPSEを小動物で再現することは解剖学的および技術的に不可能である。マウス脾摘モデルはすでに確立しているが、臨床における「脾摘」と「PSE」の間には多くの相違点が認められるため、PSEに準じた「部分的脾動脈結紮術(PSL)マウスモデル」の開発に努めた。現在、試行錯誤でその確立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「部分的脾動脈結紮術(PSL)マウスモデル」の開発に時間を要した。小動物であるため、脾動脈を結紮すること自体が非常に困難で、かつ術後の管理に難渋した。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に「部分的脾動脈結紮術(PSL)マウスモデル」を確立する。その後、四塩化炭素(CCl4)の腹腔内反復投与により作成された肝硬変マウスにPSLを施行し(LC/PSL model)、過去に我々が報告した「肝硬変マウスに対する脾摘モデル(LC/SP model) (J Gastroenterol. 2011)」と比較・検討する。 続いて、肝硬変症(HBV, HCV, アルコール)に対するPSE症例を対象として、「肝線維化」に関連する各種サイトカイン・増殖因子の術前後の変化を血清学的・組織学的に解析する(臨床研究)。「肝硬変マウスに対するPSL(基礎研究)」の検討結果と比較することで、PSLやPSEの肝線維化に及ぼす影響およびそのメカニズムについて証明する。 さらには、非代償性肝硬変患者に対する新規肝線維化改善療法「PSE先行ABMi療法」の開発を見据えて「PSL先行骨髄細胞投与モデル(PSL/BMI model)を作成し、GFP/CCl4モデルすなわち「骨髄細胞投与モデル(BMI model)」と比較することで、PSLとBMIが「肝線維化改善」にもたらす相乗効果を証明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費において、「部分的脾動脈結紮術(PSL)マウスモデル」開発後の諸実験に必要な試薬・消耗品を購入予定であったが、モデル確立に至らなかったため未使用額が生じた。次年度は、動物モデルの作成および動物実験に必要な物品費、飼育費、試薬費として研究費を使用する予定である。また、臨床研究でPSEを施行する際に必要な物品(プロテクター・グラスなど)に対しても出費予定である。さらに、国内・国際学会に参加して知識・情報を習得し、研究成果の論文化にあたってnative check(英文校正)に提出予定である。
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Research Products
(3 results)