2012 Fiscal Year Research-status Report
選択的ポリアデニレーションを介した新たな発癌機構の解明
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24790705
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西田 憲生 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10624033)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 選択的ポリアデニレーション / 発癌メカニズム |
Research Abstract |
選択的ポリアデニレーションを介した新規発癌メカニズムの解明にあたり、当初、研究ターゲットとしていた癌遺伝子であるcyclin D1の選択的ポリアデニレーションを複数のがん細胞株(乳がん細胞株、大腸がん細胞株)で検討した。リアルタイムPCR法により、細胞株の違いによる3’UTRの長さの違いを見いだした。選択的ポリアデニレーションにより3‘UTRの長さの異なる複数のmRNA isoformの存在が想定されたが、ノーザンブロットの解析では、3’UTRの短いmRNA isoformは検出されなかった。今後のメカニズムの解析にあたり、ノーザンブロットによる検出感度以下のmRNA isoformをターゲット遺伝子することは、適切ではないと判断し、新たなターゲット遺伝子の検索を、exon gene chip arrayシステムを用いて行った。その結果、3’UTRの長さのことなるmRNA isoformを持つ遺伝子を3つ同定した。これらの遺伝子は、既にがん遺伝子として報告のある遺伝子であった。リアルタイムPCR法によって、これらの3つの遺伝子は、3’UTRの長さの変化にともない遺伝子発現レベルが変化することを確認した。これらのことから、3’UTR長の調節により遺伝子発現レベルの調節を行っている可能性が示唆された。3‘UTR長の調節については、近年、多くの報告がなされているが、今回同定した遺伝子の発現調節メカニズムについては、3’UTR長の関与は、未だ報告がされていない。本研究によって、癌遺伝子の新たな発癌メカニズムの解明が期待されると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の解析対象の遺伝子として想定していたcyclin D1は、3’UTR長の異なるmRNA isoformがノーザンブロットで検出できなかった。このため、新たなターゲット遺伝子の探索を、exon gene chip array解析を用いて行い、候補遺伝子として3つ同定することに成功した。cyclin D1以外のターゲット遺伝子が必要となることは想定内であり、本年度は、新たなターゲット遺伝子の同定に成功したので、おおむね順調に経過している。QUEPASA法を用いた解析については、次年度に持ち越されたため、次年度の早期に解析を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、新たに同定した3つのターゲット遺伝子について、その選択的ポリアデニレーションを制御する因子に関して、解析を進めていく予定である。3つの遺伝子の内、一つは神経特異的に発現しているタンパク質をコードする遺伝子であり、神経細胞株(SHSY5Y,IMR32)を用いて解析を進めていく予定である。また、当初の計画どおり、新規解析方法であるQUEPASA法を用いてcis-regulatory elementの同定を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、主に、3つの候補遺伝子に関して、ミニジーンの作製ならびに、QUEPASA法で使用する次世代シークエンス解析、ならびに、そのvalidationのための遺伝子発現解析に研究費を使用する予定である。また、細胞培養関連試薬(トランスファクション試薬など)の費用が必要となる。得られた研究成果は、国内および国際学会で発表し、論文投稿する予定であり、これらに必要な経費に対して研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)