2012 Fiscal Year Research-status Report
散発性大腸がん患者におけるMDF発生にかかわる遺伝子異常および分子機序の解明
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24790713
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
酒井 英嗣 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (30600233)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大腸発がん / MDF / ACF / DNAメチル化 |
Research Abstract |
我々はこれまでに大腸発がん過程において早期に出現する病変であるMucin-depleted foci(MDF)が散発性大腸がん患者で同定できることを証明してきた。本年度は当院で外科手術を施行した散発性大腸がん患者の検体48例を入手し、メチレンブルー染色をおこない、計38例のMDFを同定した。しかし、多くのMDFは20crypt以下の大きさであり、十分なDNA量を得ることができず解析に十分なDNAが採取できたのは12検体のみであった。現在、散発性大腸がんの検体を常時確保しながら、同様の解析を継続している。また、ACF・大腸がん・腺腫・flat neoplasmに関しても同様の検討を行うべく、検体を集積している。 MDFのDNA抽出と並行してメチル化解析のためのプライマーの設計も行った。MUC2はヒト大腸で産生される主なムチンである。我々はヒトMDFでは、MUC2がほとんど発現しないことを確認している。また、MUC2 promoter領域のCpGサイトのメチル化がMUC2発現の低下と関連していることが報告されている。そこで我々はMUC2 promoterのメチル化がMDF発生にかかわるのではないかと考えている。本研究に際して、我々はMUC2 promoterから2か所以上のCpGサイトが入った3領域に対して、プライマーを作成し、メチル化解析を行った。現時点では、あらかじめ抽出してあった大腸がん検体のDNAを用いて解析したが、大腸がんにおいてはCpGサイトが高頻度でメチル化されていることがわかった(パイロシークエンス法で50%~90%程度)。同様の解析をMDFに関しても、検体が集まり次第開始する予定である。 MDFのAPC、KRAS、p53変異の解析に関しても、検体が集まり次第、免疫染色やDirect PCRを用いて行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は検体の採取とDNA抽出に重きを置いており、大腸がん検体の確保は順調であった。ただ、比較的小さなMDFから抽出できるDNA量は想定以上に少なく、解析に十分な量は確保できなかった。ある程度大きなMDFではDNA量はなんとか確保できており、今後も同様の解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度からの繰り越しになるが、引き続きMDFのDNA抽出を進める。今後はMDFの解析と並行して、ACF・大腸がん・腺腫・flat neoplasmに関しても同様の検討を行っていく。 また、MDFの発生にかかわっていると思われるJAK/STAT経路に関しても、採取したDNAを用いて、関連遺伝子の発現をみると同時に、免疫染色もおこなっていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)