2013 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌幹細胞同定のための3次元培養法の確立と、発癌機序解明及び分子標的治療への応用
Project/Area Number |
24790715
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
芝田 渉 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00435819)
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Keywords | Helicobacter / 3次元培養 / 胃癌 / 幹細胞 / 発癌 |
Research Abstract |
胃癌の発癌機序解明や有効な治療法の開発に役立てることを目的として、従来の遺伝子改変マウスを用いた発癌モデルなどin vivoの実験系に加えて、3次元胃上皮細胞培養実験を組み合わせることにより、一正常細胞が進行癌に至る過程を分子レベルで明らかにし、今後の胃癌早期発見や新規治療法開発研究につながる基礎研究を行った。 まずマトリジェルを用いた胃3次元培養いわゆるオルガノイド形成に着手した。Sato, Barkerらの手法(Nature 2009,2010)を参考とし、まず野生型マウス胃から胃上皮細胞を単離、培養しin vitroにおける3次元培養系の確立を成功させた。その後Helicobacter感染マウス胃やMNU刺激後の胃からも3次元培養に成功した。得られた3次元培養胃組織において幹細胞候補タンパクを免疫染色にて解析したところ、Dclk1はHelicobacter感染オルガノイドにおいて陽性細胞数が増加している傾向が見られた。しかしながらこれらの炎症オルガノイドのヌードマウス移植実験では腫瘍形成能を認めなかったことから、慢性炎症のみで幹細胞におこる変化では腫瘍形成能獲得は困難であることが示唆された。感染後のマウス胃から作製した3次元培養オルガノイド細胞からmRNAを抽出し網羅的遺伝子発現解析を行い幹細胞候補遺伝子の絞り込みを行った(学会発表)。その結果Isxなどの新規腸管特異的分子の高発現を見出した。Isxについては更に胃発癌との関連をin vitroやヒト胃癌組織においても解析を進めている(学会発表)。 以上の結果から、①胃3次元培養オルガノイドの確立と、②胃発癌候補遺伝子の抽出、さらに③オルガノイドを用いた幹細胞の腫瘍化能の評価が可能となった。今後は抽出した遺伝子の発癌への関与をin vitroや遺伝子改変マウスで解析し、さらに胃発癌機序の解明を行っていく予定である。
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