2012 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖連結クロリンによる新規光線力学的療法の腫瘍免疫増強メカニズムの解明と臨床応用
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24790717
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 守 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (80617861)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | PDT / Calreticulin / HMGB1 / 腫瘍免疫増強効果 |
Research Abstract |
光線力学的療法 (Photodynamic Therapy, PDT) は,光感受性物質が選択的に集積した腫瘍組織にレーザー光を照射し腫瘍細胞を選択的に破壊する治療法である。我々は,癌細胞が糖を取り込む性質を利用し,糖をクロリンに連結することにより,飛躍的な腫瘍選択性と殺細胞効果を達成した。さらに糖鎖連結クロリンによるPDTは,強力な抗腫瘍免疫を誘導することを見出したが,その詳細なメカニズムは不明である。本研究では,糖鎖連結クロリンの標的腫瘍細胞内での動態,腫瘍免疫増強効果のメカニズムの解明を行う事により,宿主に対しては極めて低侵襲でかつ強力な殺腫瘍細胞効果を有する次世代PDTの臨床への応用を目指し検討を行った。初年度には糖鎖連結クロリンの癌細胞内における殺細胞のメカニズム,特に免疫の関与につき詳細に検討する。すなわち癌細胞内に取り込まれてからの細胞内局在,活性酸素,さらにアポトーシス,オートファジー誘導能につき臨床にて使用されている第2世代のレザフィリンと比較検討した。また,マウス移植腫瘍モデルを用いて,免疫の有無によりその糖鎖連結クロリンによるPDTの腫瘍抑制効果を比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度には糖鎖連結クロリンの癌細胞内における殺細胞のメカニズム,特に免疫の関与につき詳細に検討する。すなわち癌細胞内に取り込まれてからの細胞内局在,活性酸素,さらにアポトーシス,オートファジー誘導能につき臨床にて使用されている第2世代のレザフィリンと比較検討した。また,マウス移植腫瘍モデルを用いて,免疫の有無によりその糖鎖連結クロリンによるPDTの腫瘍抑制効果を比較検討した。次年度以降には,腫瘍免疫増強効果の指標となるCRT,HMGB1の発現に注目し,糖鎖連結クロリンによるPDTによるCRT,HMGB1の発現を解析する。CRT,HMGB1をknockdownした細胞,HMGB1の受容体であるTLR4のknockout mouseを用いて,糖鎖連結クロリンを用いたPDTでの免疫誘導による腫瘍抑制効果を検討することにより腫瘍免疫増強効果のメカニズムを解明を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.免疫調節のメカニズムにつき,免疫原性細胞死の指標となるCRT,HMGB1 の発現を免疫蛍光染色等にて検討する。 2.CRT,HMGB1を介した抗腫瘍免疫誘導の解析をin vitro, in vivoで検討する。 3.抗腫瘍免疫誘導におけるTLR4の役割について,TLR4のknockout mouseを用いて腫瘍免疫増強効果を測定し,正常免疫マウスとの効果の差を比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年に引き続き,比較対象となるレザフィリンの購入費,細胞培養,マウスの購入,および飼育などを中心とした消耗品に対する費用,また学会発表の際の旅費に使用予定。
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