2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓線維化病態における、肝星細胞のFree cholesterol代謝機構の解明
Project/Area Number |
24790719
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺谷 俊昭 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (40624408)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝臓線維化 / 遊離コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦では、メタボリックシンドロームの患者数の急増に伴い、非アルコール性脂肪肝炎の患者数が増大している。これまでに、我々は、肝星細胞の遊離コレステロール蓄積はTLR4シグナルの増大を介して、肝星細胞のTGFβに対する感受性を増大させることを報告した。しかし、肝星細胞の遊離コレステロール代謝関連遺伝子が肝臓線維化病態に関与するのかは明らかになっていない。そこで、我々は遊離コレステロール代謝関連遺伝子であるACAT1、LIPE、NCEH1に着目し、これら遺伝子が肝星細胞特異的に欠損もしくは過剰発現したマウスを作製した。上記遺伝子改変マウスを用いて、肝臓線維化病態における肝星細胞の遊離コレステロール代謝の役割について解析を行った。肝星細胞のACAT1が欠損したマウスにおいて、四塩化炭素投与もしくは胆管結紮による肝臓線維化病態が野生型マウスに比べ悪化していることを明らかにした。ACAT1欠損マウスより肝星細胞を分離してin vitro解析を行ったところ、野生型肝星細胞に比べ、ACAT1欠損型肝星細胞で遊離コレステロール蓄積が増大しており、また、TLR4蛋白量も増加していた。さらに、野生型肝星細胞に比べ、ACAT1欠損型肝星細胞はTGFβに対し易感受性であった。これらの検討より、肝星細胞のACAT1が、肝星細胞内のコレステロール蓄積を介して肝臓線維化に関与することが明らかになった。また、大腸癌肝転移患者から肝切除に得られた正常肝組織より肝星細胞を分離・解析した結果、ヒト肝星細胞においてACAT1が主たる遊離コレステロール代謝関連遺伝子であった。これらの結果より、ACAT1は非アルコール性脂肪肝炎を含む肝臓線維化治療の有望な治療標的となることが示唆された。
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Research Products
(2 results)