2015 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス特異的CD8T細胞機能不全の網羅的解析
Project/Area Number |
24790720
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石橋 由佳 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60528305)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | C型肝炎 / CD8 T細胞 / NK細胞 / 免疫寛容 / 腸肝相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Daclatasvir/Asunaprevir (DCV/ASV)治療を行ったHCV genotype 1の持続感染症例を対象に、direct sequence法を用いてNS3/NS5A領域のアミノ酸変異を測定し、同時にflowcytometryを用いて末梢血単核球を分析し、ウイルス駆除に関わるNK細胞、NKT細胞およびCD8 T細胞(CTL)を中心とした宿主免疫応答と治療前resistence associated variant (RAV)の存在との関連を検討した。治療前のNS3 RAV (T54S, Q80R, A156S, D168E/V)は8%、 NS5A RAV L31Mは2%、Y93Hは15%存在していた。Y93H変異の有無別に宿主背景を検討したところ、年齢・性別・IFN治療既往・肝線維化程度に有意差を認めなかったが、Y93H変異存在例は非存在例よりHCV-RNA量は高値の傾向にあった。また、Y93H変異の存在例では、ウイルス駆除に関わるIFN-γ産生に関連するNK細胞やNKT細胞、CD8 T細胞のNKG2D発現が有意に高値であり、HCV持続感染、および排除にウイルス側因子と宿主側因子が密接に寄与する可能性が示唆された。
昨年に引き続きDSS投与大腸炎モデルマウスを用いて、腸炎の存在の有無によるCon A惹起肝障害の程度の違いを検討した。DSS投与群において組織学的、血清学的に肝障害の有意な軽減を認め、対照群であるWater + Con A投与群では肝臓内にTNF-a産生能を有するCCR9+ CD11b(+)マクロファージが増加するのに対して、DSS + Con A群ではIL-10産生能を有するCCR9(-)CD11b(+)マクロファージの増加、CD4, CD8 T細胞の機能低下を認めた。DSS + Con A群においてWater + Con A群、DSS単独群と比較して著明な腸管透過性の亢進を認め、DSS + Con A群の門脈血由来血清の前投与によりCon A肝障害の軽減が認められた。以上の結果から、本モデルにおいて腸管透過性の著明な亢進を伴う腸内細菌叢の変化(Dysbiosis)がIL-10産生マクロファージの肝臓内への集積、T細胞の活性化低下を介して免疫寛容の誘導に寄与する可能性が示唆された。
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