2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト大腸がん幹細胞の継代培養系における腫瘍形成能維持のメカニズムの解明
Project/Area Number |
24790727
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
大畑 広和 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (40570057)
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Keywords | がん幹細胞 / CD44 / 大腸がん |
Research Abstract |
前年度までに、大腸がんの手術検体より、大腸がん幹細胞のスフェロイド培養法を確立し、スフェロイド中のCD44陽性細胞が「がん幹細胞」としての形質を有する事を明らかにした。そこで、今年度は大腸がん幹細胞の維持に重要であるCD44の発現制御機構について更なる解析を進めた。フローサイトメトリーを用いて、スフェロイド細胞をCD44陽性細胞と陰性細胞に分離後、DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析、及びウエスタンブロット等の生化学的解析を行った。その結果、CD44陰性細胞と比較してCD44陽性細胞でAkt-mTOR経路が活性化している事を見出した。そこで、AktやmTORの特異的阻害剤により、Akt-mTORシグナル伝達経路を遮断すると、CD44の発現やスフェロイド形成が抑制された。さらに、マウス皮下腫瘍モデルにおいて、mTOR阻害剤を投与する事により、スフェロイド細胞による腫瘍形成が顕著に抑制された。以上の結果より、大腸がん幹細胞において、Akt-mTOR経路の活性化によるCD44の発現誘導がスフェロイド形成、及び腫瘍形成に重要な役割を担っている事が明らかとなった。 今回の研究成果により、我々が確立したがん幹細胞のスフェロイド培養法は、大腸がんに限らず、種々のがん種に適用できる可能性がある。その為、がん幹細胞の本態の解明、及びがん幹細胞を治療標的とした研究等、幅広い研究領域において非常に有用であり、がんの撲滅に向けた治療戦略への応用が期待される。
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Research Products
(1 results)