2013 Fiscal Year Annual Research Report
バレット食道の病態・癌化に関わるエピゲノム異常の解析
Project/Area Number |
24790729
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
大坪 武史 独立行政法人国立国際医療研究センター, 消化器疾患研究部, 特任研究員 (00623034)
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Keywords | 上部消化管学(食道、胃、 十二指腸) / エピゲノム |
Research Abstract |
バレット食道は、胃食道逆流症による傷害からの修復過程で生じる異常分化上皮であり、腺癌発症の母地となるため臨床的に重要視されている。申請者らのグループは、消化管の慢性炎症性疾患である潰瘍性大腸炎、及びそれに伴う炎症発癌過程において、正常型Sda糖鎖の合成酵素遺伝子群の発現がエピジェネティック機構により転写抑制されていることを見出し、消化管の炎症・発癌にエピゲノム変化が密接に関与していることを明らかにしてきた。本研究では、糖鎖発現変化を指標としたバレット食道の網羅的エピゲノム異常解析を行うことで、腺癌発生に至る病態の解明を目指した。さらに、同じく喫煙・飲酒誘発性エピゲノム異常が発癌に密接に関わっている食道扁平上皮癌の網羅的解析を行った。 平成25年度は、食道扁平上皮癌及び同一症例の正常食道粘膜組織より抽出したDNA及びRNAを用い、MeDIP-seq法によるメチローム解析、serial analysis of gene expression (SAGE)-seq法によるトランスクリプトーム解析を行った。正常食道粘膜組織に比べ食道扁平上皮癌においては、159個の遺伝子が発現低下しており、その内56個の遺伝子においては、その転写開始点近傍(-10kb-+2kb)にDNA高メチル化が認められた。また、食道扁平上皮癌細胞株を用いたDNA脱メチル化剤5-Aza-2'-deoxycytidine処理により、これらの遺伝子の発現回復を確認した。さらに、食道癌細胞株を用いた機能解析により、DNAメチル化により発現低下しているこれらの遺伝子は、細胞増殖抑制、及び、細胞接着等に関わる食道上皮における新規癌抑制的遺伝子であることを示した。これらの解析より見出されたエピゲノム変化は、食道扁平上皮癌、バレット腺癌の新たな診断マーカーに成り得る可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)