2012 Fiscal Year Research-status Report
新型薬剤溶出性ステントの血管機能異常発現に与える効果についての検討
Project/Area Number |
24790732
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
圓谷 隆治 東北大学, 大学病院, 助教 (30599882)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 循環器 / 冠動脈疾患 / 薬剤溶出性ステント / 血管過収縮反応 / Rhoキナーゼ |
Research Abstract |
第3世代薬剤溶出性ステント(DES)であるバイオリムス溶出性ステント(BES)と第1世代DESであるシロリムス溶出性ステント(SES)をブタ左冠動脈に留置し、1ヶ月目および3ヶ月目でIn vivoでの血管反応を検討した。SESではセロトニン冠動脈内投与によりステント留置近傍の過収縮反応が認められ、この過収縮反応はRhoキナーゼ阻害薬であるハイドロキシファスジルの前投与によって抑制された。一方BESにおいては、ステント留置近傍の過収縮がSESと比して有意に抑制されていた (BES 22±10 vs. SES 54±24%, P<0.01, n=8 each)。また3ヶ月目での血管反応性評価では、SESのステント近傍ではセロトニンによる過収縮反応が認められていたが、BESでは過収縮反応抑制効果が持続していた (BES 18±12 vs. SES 36±16%, P<0.05, n=8 each)。一方でブラディキニンによる内皮依存性弛緩反応やニトログリセリンによる非内皮依存性弛緩反応は2群間で差を認めた。In vivoでの検討後ステント留置部の冠動脈を摘出し組織学的評価を行ったところ、第1世代DESであるSESでは炎症反応の亢進や微小血栓の形成が認められたが、第3世代DESであるBESではこれらの反応が有意に抑制されていた。以上から第3世代DESであるBESでは、第1世代DESで認められた異常血管反応が改善することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により第3世代DESが第1世代DESで認められた血管異常反応を改善しうることが明らかにされ、本研究における仮説が証明されたと考える。しかし現段階においてはまだ現象を捉えているのみであり、今後はその機序について分子生物学的検討を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの我々の研究により第1世代DESでは血管の炎症反応が亢進することによりRhoキナーゼが活性化し、血管の過収縮反応を呈している事が明らかになっている。様々な研究によりこの炎症反応は、薬剤を包埋しているポリマーによって惹起されることが明らかになっているが、本研究で用いている第3世代DESバイオリムス溶出性ステントBESは、生体吸収性ポリマーを使用し且つ血管壁側のステントストラットのみに塗布されることによりポリマーの量も抑えられているという特徴を有している。今後はまずBES留置部においてRhoキナーゼの活性が抑えられているかを免疫組織学的検討によって明らかにしたい。また、今回得られた知見がこのポリマーの改善によるものであると考え、ポリマーのみのステント、ポリマーなしの通常の金属ステントを用いたIn vivoでの血管反応評価により、この点を明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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