2012 Fiscal Year Research-status Report
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24790738
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 敏弥 東京大学, 医学部附属病院, その他 (30625588)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / 摂食調節 / 転写因子KLF5 / AgRP |
Research Abstract |
現代において、肥満の増加は早急な対応を要する課題である。肥満を来す分子メカニズムの解明が重要であり、その中でエネルギーの過剰摂取、すなわち過食は大きな要素を占める。視床下部における弓状核は摂食中枢として知られている。視床下部弓状核においては摂食亢進に作用するAgouti-related peptide (AgRP)と摂食抑制に作用するpro-opiomelanocortin (POMC)が拮抗して摂食を調節している。 転写因子Krüppel-like factor 5 (KLF5) のヘテロノックアウトマウス(Klf5+/-マウス)は摂餌量が有意に増加しており、KLF5が摂食中枢においても何らかの役割を果たしている可能性が考えられた。免疫組織化学にて、視床下部弓状核におけるAgRP発現ニューロンでKLF5の発現が認められた。高グルコース培養環境下でKLF5はArgpプロモーターに恒常的に結合しているが、低グルコース刺激によりKLF5がAgrpプロモーターから解離することが明らかになった。 AgrpはForkhead protein FoxO1により調節されていることが知られている。ルシフェラーゼアッセイにより、AgrpプロモーターにおけるKLF5の結合がAgrpの抑制に必須であることが示唆された。また、翻訳後修飾であるSUMO化により多くの転写が抑制されていることが知られている。ルシフェラーゼアッセイによりKLF5のSUMO化とAgrpプロモーター活性について検討したところ、KLF5のSUMO化がAgrpの抑制に必須であることが示唆された。 Agrp特異的Klf5ノックアウトマウスを作成したところ、摂餌量、体重の増加がみられた。一方で、pair-feedingでは体重変化はみられなかった。 以上より、KLF5は摂食を調節し代謝制御に多面的に寄与することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転写因子Krüppel-like factor 5 (KLF5) が視床下部弓状核の摂食中枢において重要な機能を有していると考え、研究を進めてきた。免疫組織化学により、視床下部弓状核におけるAgRPニューロンにおいてKLF5が作用することを確認し、AgRPニューロンに対してKLF5が抑制的に作用するという知見を得た。 平成24年度に得られた成果として、① 高グルコース培養環境下でKLF5はArgpプロモーターに恒常的に結合しているが、低グルコース刺激によりKLF5がAgrpプロモーターから解離する、② KLF5は、Agrpを調節するForkhead protein FoxO1と結合し、Agrpプロモーターを負にして調節している。③ KLF5のAgrpに対する抑制は、翻訳後修飾であるSUMO化による。KLF5のSUMO化がAgrpの抑制に必須であること。④ Agrp特異的Klf5ノックアウトマウスの作成、解析を進めた。ノックアウトによって摂食が亢進、体重が増加すること、インスリン抵抗性増加という表現型を得た。 以上より、KLF5は、脂肪細胞分化、脂肪酸燃焼に加えて、摂食を調節し代謝制御に多面的に寄与することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として、KLF5がAgRPを抑制する詳細な機構の解析が挙げられる。 ① KLF5の上流シグナルの解析。一般的に摂食シグナルの上流として、グルコース、インスリン、レプチン、グレリンなどが挙げられる。平成24年度の研究よりグルコース濃度の変化によりKLF5のAgrpプロモーターへの結合やFoxO1との結合が明らかになったが、グルコース濃度からのシグナルについては不明である。グルコース濃度のセンサーとして、AMPKが有名であり、AMPKのリン酸化によりKLF5の作用が影響を受けることが予想され、その詳細な解析が必要である。 ② KLF5がSUMO化される点についても詳細に検討する必要がある。SUMO化はco-factorsと共に多くの場合転写を負に調節する。上流からのシグナルを得て、KLF5のSUMO化がFoxO1との結合やAgrpプロモーターとの結合に関わっているという可能性が示唆されており、その点を確認する必要がある。 ③ 免疫組織化学ではKLF5とAgRPの共在が示唆された。実際にKLF5によりAgRP神経活性が抑制されているかを確認する必要がある。 ④ Agrp特異的Klf5ノックアウトマウスの解析をさらに進める必要がある。VO2やその他の代謝状況について確認する。 以上の課題について研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、実験動物 400,000円、動物飼料・飼育費 100,000円、分子生物学的試薬 300,000円、細胞培養試薬類 200,000円を予定している。 また、学会発表の経費として、国内 200,000円、海外 400,000円を計画している。
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Research Products
(5 results)