2013 Fiscal Year Research-status Report
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24790744
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 由子 東京大学, 医学部附属病院, 研究員 (80436477)
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Keywords | 循環器疾患 / 動脈硬化 / 検診データ / 疫学研究 / 酸化ストレス / 新規バイオマーカー |
Research Abstract |
前年度に引き続き検診の「特殊性を活かした疫学研究」として多臓器領域にまたがる横断的研究を行った。研究テーマの一つである酸化ストレスが動脈硬化の進展に及ぼす影響に関しては、平成25年度以来、生体内の酸化促進因子である慢性炎症や感染に着眼し、女性健常者における血清フェリチン値の上昇が潜在的な動脈硬化に関連することを、頚動脈超音波検査及び心臓足首血管指数の検査結果より明らかにした。また検診の独自性を活かした研究としては、齲歯・歯周病といった口腔内の病巣がピロリ菌感染の温床になりうるかにつき検討すべく、歯科検診結果のデータベース化に着手した。そのほか、潜在的な甲状腺機能異常と循環器疾患の関りについて研究を進めており、治療介入の是非に苦慮する潜在的甲状腺機能低下症においても既に頸部の動脈硬化が進行していることを見出し、第111回日本内科学会総会で発表を行う予定である。本テーマに関しては、循環器予防学に即した実臨床の手掛かりを示すべく、更なる検討を重ねる所存である。 その他、検診部内のデータベースを東大検査部の生理検査データとリンクさせ、各種検査の詳細データがタイムリーに反映されるシステムの構築も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究項目の一つである「酸化LDLの検証」に関し、予備検討は行ったものの新規性のある結果が得られず、新たな因子を探索すべく研究の焦点を循環器予防学に関連する疫学研究にシフトさせた。その為、実験研究の着手が遅れ、結果として未使用額が発生する事態となった。また初年度から検診部受診者データベースの構築を行ったが、PDF媒体の手入力などシステムの導入だけでは補いきれない部分もあり、全体的に研究の進捗が遅れているのもその要因と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、進行中のデータ解析を継承しつつ、本年度までの疫学研究から得られた知見に基づき、被験者の血液検体を解析するなどの実験研究を予定している。酸化ストレスが動脈硬化の病態刺激であることを踏まえ、「酸化LDL」に特化しない幅広い検証を行う所存である。また当初、発展的取り組みとして予定していた「生化学的解析」については、限られた時間と研究費の中で一定の成果を出すには、費用対効果の面にも留意する必要があり、多方面との協議の結果ひとまず保留としてきたが、次年度ではこちらに関しても可能な範囲で挑戦したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究項目の一つである「酸化LDLの検証」に関し、予備検討は行ったものの新規性のある結果が得られず、新たな因子の模索も含めて、研究の焦点を循環器予防学に関連する疫学研究にシフトしたため、未使用額が発生する事態となった。また初年度に検診部受診者データベースの構築を行ったが、PDF媒体の手入力などシステムの導入だけでは補いきれない部分もあり、全体的に研究の進捗が遅れているのもその要因と言える。 来年度以降は、進行中のデータ解析を継承しつつ、本年度までの疫学研究から得られた知見に基づき、被験者の血液検体や尿検体を解析するなどの実験研究を予定している。
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