2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790760
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土肥 由裕 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 特任助教 (20455786)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 |
Research Abstract |
本研究は、肺動脈性肺高血圧症発症のhigh risk群において、発症リスク予測に有用なマーカーの同定を目的とする。測定項目として、心エコー図、心電図、肺機能検査に加えて右心カテーテル検査、心肺運動負荷試験、運動負荷心エコー図をあげている。現在high risk群として膠原病患者を対象に上記項目のうち右心カテーテル検査および運動負荷心エコー図以外の項目について評価を行った症例数は19例となった。また、本研究では右心カテーテルでの肺毛細血管床からの血液サンプルを採取する予定である。本年度右心カテーテルおよびサンプル採取行った例は46例になる。これらは肺動脈性肺高血圧症を既に発症している患者群からの採取となっている。これらの患者群において、心肺運動負荷試験を同時に施行しているが、健常人に比し明らかに歳代酸素摂取量を中心とした心拍出量依存性のパラメーターが低下していることが確認された。さらに、これらの値は肺動脈性肺高血圧症においては慢性血栓塞栓性肺高血圧症と比べ有意に低下していた(45.5±8.0 vs 60.6±13.4, p<0.01)。この結果は、心肺運動負荷試験が肺血管床障害を早期からとらえることが出来る可能性を示唆している。今後、high risk群においてもこういったパラメーターを比較することで肺動脈性肺高血圧症発症のhigh risk群の同定に近づける可能性がある。さらに、肺血管床における血液サンプルの解析を進めることでより正確なhigh risk群の同定が可能となる可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、肺動脈性肺高血圧症high risk群において、右心カテーテル施行の予定であったが、患者群のなかで症状が強い症例が少ないため検査の同意が得られなかった。このためhigh risk群での肺血管床からの採血サンプリングは進んでいない。また、心肺運動負荷試験については、昨年度半ば過ぎから定期的な検査が可能となったこともあり、現在症例数は不十分である。運動負荷心エコーについては、心エコーが常時用意できず、検査に要するスペースの問題が今年度より解決したため、昨年度は施行出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のデータ収集をさらに進めると同時に、今年度から可能となる運動負荷心エコーについても症例数を増やしていく。今年度より、Bach1ノックアウトマウスを用いた検討も開始する。Bach1ノックアウトマウスは、抗酸化ストレス作用を有する酵素ヘムオキシゲナーゼ-1が過剰に発現しているマウスである。肺動脈性肺高血圧症発症には、酸化ストレスが関与しているとされ、実際低酸素でのマウス飼育にて肺高血圧症モデルを作成することが出来る(48 時間、5 日間、2 週間:Proc Natl Acad Sci USA 2001;98:8798-8803)。しかし、低酸素血症での肺高血圧症発症の機序に関しては明らかにされていない。今回我々はBach1ノックアウトマウスを用いて、低酸素飼育で肺動脈壁に対する影響、肺動脈圧等について野生型と比較検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、症例数が少なく、サンプル採取は行ったが、ELISA等のアッセイは行っていない状況である。また、マウスの実験に関しても臨床症例数を集めた後に行う計画であり、平成24年度は施行していない。 残高会わせた研究費の内訳であるが、 野生型マウスの購入、施設管理料、実験試薬に60万が必要となる。 また、現在行っている心肺運動負荷テストを進めるためのメンテナンスおよび呼吸解析のマスクなどの費用として20万が必要となる。 肺高血圧症発症には多くのサイトカインが関与していると考えられる。肺血管床から採取したサンプルにおけるこれらのタンパク質量を測定することは、肺高血圧症の原因解明に重要と考えられる。ELISAにはかなり費用がかかると思われるが、こういったサンプルは他施設では持ち合わせておらず、独創性のある知見になると考えられる。これらの解析に 120万使用。 また、学会発表の旅費に40万使用予定である。
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Research Products
(1 results)