2012 Fiscal Year Research-status Report
TIGARを介する心筋エネルギー代謝フレキシビリティーとApoptosis制御
Project/Area Number |
24790773
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
三田 雄一郎 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (70609122)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | TIGAR / 心不全 / 糖代謝 / 圧負荷モデル |
Research Abstract |
全身TIGAR KOマウスを用い、圧負荷モデル(TAC)の作成を行い、TIGAR+/+マウスとの比較を行った。その結果、TIGAR KOマウスでは作成初期の肥大期(4week)まではTIGAR+/+マウスと大きな差は見られなかったが、TIGAR+/+マウスでは心機能が低下し心不全になっている時期(8week)でも心機能が維持されていた。 心不全では初期に脂肪酸代謝するが糖代謝の増加でエネルギー状態を維持するが、、後期には糖代謝の減少も起こりATPレベルが減少し心不全が悪化すると考えられている。未処理のTIGAR KOマウスとTIGAR+/+マウスを比較すると、ATP量に大きな差は見られなかった。しかし、TACモデルにおいてはTIGAR+/+マウスでは心不全期でATP量、リン酸化クレアチンレベルの減少がみられ、エネルギー源の減少がみられるのに対し、TIGAR KOマウスではATP量、リン酸化クレアチンレベルの減少がほとんど起こっておらず、エネルギー状態が維持されることによって心不全の進行が抑制されていることが示唆された。 心臓内のどの細胞がTACモデルにおける心不全の進行を抑制しているのかを調べるために、タモキシフェン誘導心筋特異的TIGAR KOマウスを用いて同様の検討を行った。その結果、心不全の進行、ATP量などは全身KO、心筋特異的KOのどちらでもTIGAR +/+マウスに比べよい状態が保たれており、TIGAR KOマウスでは心臓内の血管などではなく心筋のエネルギー状態を良好に保つことによって心不全の進行を抑制していることが分かった。 このことから、心筋特異的にTIGARを抑制することができれば、心不全の進行を抑制することができる可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TIGAR KOマウスにおいてTACモデルでの心不全が抑制され、その原因として心筋におけるエネルギー代謝が維持されていることが分かった。 しかし、そのメカニズムについてはTIGARの糖代謝制御の機能だけで明確に説明できるかどうかは今のところデータが不足しているため、RIを用いた糖の取り込み実験や、膜におけるグルコーストランスポーターの量の変化などを調べていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
TIGARをKOすることによりTACモデルにおいて心不全の進行を抑制することができている。しかし、エネルギー状態を維持するメカニズムについてはわかっていない。そのため、RIラベルを行った脂肪・糖の取り込みを肥大期・心不全期など様々なタイミングで調べ、エネルギー状態が維持されているメカニズムを詳細に調べていく。それと同時に、タモキシフェン誘導モデルを用いる事により、肥大期、心不全期特異的にTIGARをKOし、それぞれの段階におけるTIGARの影響を調べ、TIGARを対象にした治療の最適な段階を特定する。in vitroでは、単離心筋やTIGAR KOマウスのMEF等を用い、グルコーストランスポーターやインシュリン抵抗性などのエネルギー状態に関与する因子の影響の検討を行う。 また、心臓に負荷を加えていない状態でのTIGARの機能を調べるため、1年以上の長期市域を行い、高齢マウスにおける心機能、心臓のエネルギー状態を調べる事により、加齢によって自然発症する心機能の低下に対し、TIGAR KOマウスが抵抗性を示すかどうかも調べていく必要がある。 最後に、心筋特異的にTIGARの機能を抑制する薬剤のスクリーニングを行うことにより、心不全治療が可能かどうか検討を行うとともに、心筋幹細胞を単離し、TIGARが抑制された状態にした後に心臓に戻す自家移植によって心不全の治療が可能か検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物の維持・購入費用、各種試薬・細胞培養関連製品の購入費用に用いる
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[Presentation] TIGAR (TP53-induced glycolysis and apoptosis regulator) deteriorates energy metabolism in pressure overload-induced heart failure2013
Author(s)
Yoshifumi Okawa, Satoaki Matoba, Eri Iwai-Kanai, Hideo Nakamura, Atsushi Hoshino, Mikihiko Nakaoka, Maki Katamura, Makoto Ariyoshi, Satoshi Kaimoto, Yuichiro Mita, Hiroaki Matsubara
Organizer
第77回日本循環器病学会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
20130315-20130317
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[Presentation] Granulocyte colony-stimulating factor stabilizes MDM2-p53 interaction in cardiomyocytes but not in cancer cells2013
Author(s)
Yuichiro Mita, Eri Iwai-Kanai, Satoaki Matoba, Hideo Nakamura, Atsushi Hoshino, Mikihiko Nakaoka, Maki Katamura, Yoshifumi Okawa, Makoto Ariyoshi, Satoshi Kaimoto, Hiroaki Matsubara
Organizer
第77回日本循環器病学会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
20130315-20130317
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[Presentation] :Granulocyte Colony-Stimulating Factor (G-CSF) Reduced Doxorubicin Induced Cardiotoxicity by Stabilizing MDM2-p53 Interaction2012
Author(s)
Yuichiro Mita, Eri Iwai-Kanai, Satoaki Matoba, Hideo Nakamura, Atsushi Hoshino, Mikihiko Nakaoka, Maki Katamura, Yoshifumi Okawa, Makoto Ariyoshi, Satoshi Kaimoto, Hiroaki Matsubara
Organizer
第29回ISHR日本部会総会
Place of Presentation
福岡
Year and Date
20121026-20121027