2014 Fiscal Year Annual Research Report
基底膜分子パールカン欠損による新規大動脈解離モデルマウスを用いた分子病態解明
Project/Area Number |
24790783
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野中 里紗 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90614248)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 基底膜分子パールカン / 細胞外マトリックス / 大動脈内皮機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
基底膜は、細胞外環境の中核を形成していると考えられている。本研究は、血管基底膜構成分子であるパールカン(Perl)を欠損したパールカンコンディショナルノックアウト(Perl KO)マウスの解析より、血管組織におけるPerlの役割を明らかにすることを目的としている。前年度に引き続きPerl KO大動脈組織に対する解析を行うと共に、培養内皮細胞を用いた解析を行った。これまでのPerl KO大動脈組織の解析より、Perl欠損大動脈において弾性線維の主要構成タンパク質の発現やその成熟度が低下傾向を示した。大動脈における分化の検討した結果、収縮型平滑筋細胞で認められるアクチン、ミオシンのRNA発現の有意な減少が認められ、中膜層の脆弱化の可能性を示唆した。また、これまでのPerl KO大動脈組織の解析より、内皮依存性弛緩機能低下を認め、内皮型NO合成酵素(NOS3)の有意な発現減少が認められていた。PerlとNOS3との関連を検討する為、ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)にPerl siRNA処理後、NOS3の遺伝子発現について解析を行った。Perl siRNA処理HAECによりPerlのRNA発現が有意に減少し、それに伴いNOS3のRNA発現が有意に減少した。Perlのヘパラン硫酸鎖の関与を検討する為、酵素処理によるHAECのHS鎖除去を行い、経時的にNOS3のRNA発現変動を検討したが、発現に変動は見られなかった。一方、組み換えPerl存在下、Perl siRNA処理HAECのNOS3のRNA発現を検討した結果、Perl siRNA処理により減少したNOS3のRNA発現が、コントロールと同等レベルまで有意に回復した。本研究より、Perl欠損がNOS3発現減少起因の内皮機能低下を引き起こすことを示し、Perlは大動脈内皮のNOS3遺伝子発現維持に役割を果たしていることを示した。
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Research Products
(6 results)