2012 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性心筋障害の病態に関わる分子の探索及び機能解析
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24790786
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
香山 洋介 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40507232)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖尿病性心筋症 / 炎症 / 酸化ストレス / 12-リポキシゲナーゼ |
Research Abstract |
今回我々は糖尿病性心筋障害の発症病態に関わる分子の探索や機能解析を本研究の目的とする。Wisterラットにストレプトゾトシン(STZ)を投与した持続性高血糖ラットの心不全期の心臓でマイクロアレイを行ったところ、コントロール群と比較しアラキドン酸12-リポキシゲナーゼ(12-LOX)の発現が著明に上昇していた。そこで今回、高血糖刺激に伴う心臓における12-LOXの作用を検討することした。 野生型マウスにSTZ を投与して持続性高血糖マウス(糖尿病心筋症モデル)を作成する。そして持続性高血糖マウスを用いて、12-LOX - 炎症系サイトカイン及び酸化ストレスの関与を心臓において確認する。また、12-LOX欠損マウスを用い、野生型同様にSTZ投与して心機能の変化を心臓超音波検査を用いて検討する。またSTZ投与12~16週後の心臓組織標本を各々作製し、各種免疫染色を行い、発現の程度や分布を調べる。また、心臓組織内の12-LOXの発現及び炎症系サイトカインや線維化マーカーの発現を、RT-PCR法もしくはウエスタンブロッティング法で確認する。その後結果次第では12-LO阻害薬や抗酸化ストレス剤を用いた実験も考慮する。 培養新生児ラット心筋細胞・心筋線維芽細胞に高血糖刺激(450mg/dl)を行い、12-LOX及び炎症系サイトカインの発現をRT-PCR法を用いて、コントロール群(100mg/dl)と比較検討する。高血糖刺激で12-LOXの発現の亢進が見られたら、12-LOX酵素阻害薬(CDC)を用いて12-LOX抑制する実験も検討する。 また、高血糖刺激のみならず、低血糖刺激や血糖変動刺激に伴う心筋細胞における障害の評価も行っていく。12-LOX及び炎症系マーカー、酸化ストレスの発現、細胞死の有無もチェックしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
in vivoにおいて、12-LOX ノックアウトマウスを使った実験において、野生型マウスと比較し、有意に高血糖負荷による心機能低下が抑制されたこと。組織学検索においても有意に線維化がノックアウトマウスで軽減されていた。また炎症系サイトカイン、酸化ストレスの発現もノックアウトマウスにおいて有意に軽減していたため、予定通りに実験が進められた。 また、STZ投与の野生型マウスの作成も順調に作成可能であり、またノックアウトマウスの産生においても順調に増えており、マウスワークでの実験進行が滞らなかったこと。現在in vitroの実験系でも高血糖刺激を心筋に与え、よいデータが出ており、高血糖刺激のみならず、低血糖、血糖変動刺激における心筋障害を評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroにおける実験において、12-LOX 阻害薬を使用し、高血糖刺激に伴う炎症系マーカーや酸化ストレスの発現と、12-LOXの関係を確認していく。またTNF-αの上昇後の下流の検索としてNFkBの存在を考えており、野生型高血糖マウスと12-LOXノックアウトマウス群の心臓におけるNFkBの発現を確認して行く。 また、in vivoの追加実験として抗酸化ストレス剤(NAC)を野生型高血糖マウスに投与し、コントロール群との心機能の評価を行っていく。それに合わせて、酸化ストレスの抑制の程度や、炎症系マーカーの発現を週令を追って確認する。抗酸化ストレス剤投与後の、心臓組織学検索も行う予定である。 データが出そろったところで、論文形式にまとめていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年、実験の進行が予定より進んだため、前倒し申請行った。その後ELISA kitや各種抗体の購入行った。また今後阻害薬や抗酸化ストレス剤、また各種抗体を引き続き購入予定である。またマウスの系統維持及び血糖変動モデルマウスの作成にあたり、自動えさやり機能の付いたマウスケージを購入する予定。このケージの購入のため、昨年前倒し申請行ったが、現時点まだ購入できていない状況である。よって今年度残金が余っている状態である。今年、血糖変動モデルマウスの作成及び解析を行う予定である。その作成にあたり自動えさやり機能付きマウスケージを購入予定である。 実験計画としては、心筋細胞における低血糖刺激や血糖変動刺激の作用を調べていく。In vitroでは心筋細胞に低血糖刺激及び血糖変動刺激を与え、それに伴う影響を評価して行く。 細胞死や炎症系サイトカインの関与、またp53の発現の程度を合わせて評価して行く予定 である。そして、in vivoモデルとして血糖変動マウスモデルの確立も検討したいと考えている。
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